マインドフルネス瞑想がアルツハイマー病に効く!?

大塚真紀

瞑想(イメージ)
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マインドフルネス瞑想は著名人が実践したり、グーグルやインテルなどの大企業でも研修に取り入れるなど広がりつつあります。また、マインドフルネス瞑想がストレスケアや集中力向上だけでなく、アルツハイマー病にも有効とする研究結果も発表されています。

マインドフルネス瞑想とは

マインドフルネス瞑想は、日本の禅や仏教の瞑想の考え方を基にして、宗教的な要素を取り除いてストレス緩和に用いられたのが始まりといわれていて、その歴史は古く、1979年ごろから行われています。
スティーブ・ジョブズが実践していたのは有名で、グーグルやインテル、ナイキ、フェイスブックでも企業研修に取り入れるなど広がりつつあります。

マインドフルネス瞑想は集中力を高めたり、自分の気持ちをうまくコントロールできるようにする心の筋トレとよばれることもあります。日本マインドフルネス学会によると、人間は過去のことを思い出して憂うつになったり、まだわからない未来のことを考えすぎて思い煩うことが多いので、マインドフルネス瞑想を行うことによって過去や未来から自分を切り離し、目の前のことだけに集中するようにするとベストを尽くすことができるそうです。

2016年1月に発表されたカーネギーメロン大学の研究では、35名を対象としてマインドフルネス瞑想とリラックスプログラムに無作為に分けてランダム化比較試験を実施し、介入の前後に脳スキャンと血液検査をしてその変化を比較しました。
結果は、マインドフルネス瞑想のグループの脳がストレス耐性面で改善が見られたということです。そしてさらに、4か月後のフォローアップでも同様の傾向が見られたと報告されています。

そして昨今、マインドフルネス瞑想の集中力向上やストレス緩和効果以外の、様々な脳機能への好影響を示す研究が発表されています。

マインドフルネス瞑想がアルツハイマー病を改善する可能性

カナダの研究チームは記憶力の低下を自覚している人にマインドフルネス瞑想を行うと脳の密度が増加し、記憶力も改善したことを2016年4月に「Journal of Alzheimer’s disease」誌に発表しました。

アルツハイマー病の前症状として、主観的な記憶力の低下がみられることが知られています。また、記憶力の低下を自覚している方の脳を調べるとアルツハイマー病の指標であるアミロイドベータの沈着や灰白質とよばれる脳の一部の密度の低下を認めることがあります。そして主観的な記憶力低下を訴える方の約60%が、将来的にアルツハイマー病を発症することもわかっています。

研究チームはこれらの事実に着目し、マインドフルネス瞑想が主観的な記憶力の低下に対して効果があるかを明らかにするために今回の研究が行われました。
まず、記憶力の低下を感じている14人と記憶力の低下を自覚していない健康な22人を対象に、ランダムにマインドフルネス瞑想かその他の心理療法を割り当てました。するとマインドフルネス瞑想を行ったグループでは、その他の心理療法に比べて、記憶力の低下を感じている人でも感じていない人でも、研究を行う前より脳の密度が上昇していることがMRI検査で証明されました。また、記憶力の低下を自覚していた人は、記憶力の改善を実感できたそうです。

今回の研究結果は、アルツハイマー病の前病変といえる主観的な記憶力の低下に対して、マインドフルネス瞑想が有効であることを明らかにしました。

対象が少人数なので、今後大規模な人数を対象とした研究が行われ、さらにマインドフルネス瞑想の効果検証が進むことを期待したいと思います。

瞑想がアルツハイマー予防に(イメージ)
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今日からできるマインドフルネス瞑想の方法

マインドフルネス瞑想は、1人になれる静かな場所があればどこでもできます。

まず背筋を伸ばして椅子に座ります。仰向けに寝て行ってもいいですが、眠ってはいけません。視線を斜め前に落とすか、目を閉じます。そして自然に呼吸し、息がどのように吸われて吐かれるかに集中します。全身の筋肉の緊張を緩めるような気持ちで行います。これを5-10分間続けるだけです。

仕事や悩み、家族など気になっている問題が頭に浮かんでくることもあるかもしれません。その場合には、それらの問題は心の中にそっとしまって再び呼吸に集中するようにしましょう。呼吸に集中し、リラックスすることが大切です。

できれば1回約45分続けるのが理想といわれていますが、1日5-10分だけでも毎日続ければ効果が期待できるといわれています。最近ではマインドフルネス瞑想をサポートする無料アプリもあるので、興味があればダウンロードして使用してみるのもよいでしょう。呼吸の仕方や姿勢について指示をしてくれるので、やり方がわからない時に役に立ちます。

筋肉トレーニングと同様で、心の筋トレといわれるマインドフルネス瞑想も継続が大切と考えられています。なるべく長く継続すると、目の前のことに焦ったりせず、集中して自分のベストパフォーマンスを出せるようになるかもしれません。


(参考論文・参考資料)
Mindfulness Training for Older Adults with Subjective Cognitive Decline: Results from a Pilot Randomized Controlled Trial.
Smart CM, Segalowitz SJ, Mulligan BP, Koudys J, Gawryluk JR
J Alzheimers Dis. 2016 Apr
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006322316000792