速報!認知症の免疫療法でアミロイドベータ抑制に成功〜初の認知症根治薬になるか

nounow編集部

アルツハイマーが改善する抗体(イメージ)
出典元:pixabay.com

8月31日、アルツハイマー病の免疫療法が、アミロイドベータの蓄積を抑制し病気の進行を遅らせたとする論文が発表されました。認知症初の根治薬になるのか、注目されます。

人の臨床試験でほとんどのケースで進行を遅らせることに成功

科学誌「Nature」に、米国とスイスの研究チームが、アミロイドベータに対する抗体アデュカヌマブを月1回1年にわたり静脈注射することで、アミロイドベータが減少し、アルツハイマー型認知症の進行を遅らせることに成功したとする論文が掲載されました。

認知症の原因物質とされる脳内に蓄積されるアミロイドベータに対する抗体ベースの免疫療法はこれまで成功してきませんでした。

今回研究チームが作ったアデュカヌマブを、60代から80代の初期アルツハイマー病患者165人を2つのグループにわけ、一方に毎月1回、1年間静脈注射した(一方には偽薬を処方)ところ、患者の脳内アミロイドベータが減少、ほとんどのケースで進行を遅らせることができ、ほぼ健康な人と同じレベルまで改善した人もいたとしています。

研究チームは今後さらに多くの患者を対象にした臨床試験を行うとのことですが、予防薬や治療薬の開発につながる可能性があり非常に注目されます。

揺らいでいたアミロイドカスケード仮説

これまでアルツハイマー型認知症の原因として、アミロイドベータの脳内蓄積が引き金となり、タウがたまって最終的に神経細胞が死に、脳が萎縮するとする「アミロイドカスケード仮説」が主流であり、多くの創薬がこの仮説に基づいて行われてきました。

しかしいずれも失敗に終わり 最近ではnounowでも取り上げたこのような説さえ出てきていました。

アミロイドベータは脳の「仇」か「戦友か」?

アミロイドベータは、脳に侵入してきた細菌から脳を守る過程で蓄積されたものだった可能性がでてきたのです

他にタウ原因説など様々な仮説があり、アミロイドカスケード仮説は揺らぎつつありました。

今回、アミロイドベータの抗体がアルツハイマー病の進行を緩和したことから、あらためてアミロイドカスケード仮説が勢いを取り戻すかもしれません。

バイオジェン社が開発するアデュカヌマブ

2015年3月、フランスで行われたアルツハイマー・パーキンソン病会議で その臨床試験の中間解析で良好な結果が発表され、「認知症初の根治薬になるか」と注目を浴びたのが、米国バイオジェン社が開発するアデュカヌマブです。

しかし第1相臨床試験の結果はまちまちであり、今後大規模な第3相臨床試験の結果が数年後に得られる見通しとのことでした。
バイオジェン、認知症薬の第1相試験結果はまちまち The Wall Street Journalより)

今回の研究チームの米バナー・アルツハイマー病研究所(Banner Alzheimer’s Institute)のエリック・レイマン氏曰く

「実際に、抗アミロイドベータ治療法が認知力低下の進行を減速することが立証されれば、アルツハイマー病をどのように理解、治療、予防するかに大変革をもたらすだろう。今こそ、解明のチャンス」引用:臨床試験薬、アルツハイマー病に「目覚ましい」効果 研究

とのことです。

今回の臨床試験で、副作用により投薬を中断した患者もおりまだ楽観はできませんが、アルツハイマー病の原因の解明、そして根治薬の開発につながっていくか、大きな期待が集まります。

出典:http://www.nature.com/nature/journal/v537/n7618/abs/nature19323.html?lang=en
引用:臨床試験薬、アルツハイマー病に「目覚ましい」効果 研究