東アジアの高齢者の脳は健康?〜運動し交流することが秘訣

佐藤洋平

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認知症に関する研究は欧米のものが多いのですが、東アジアの高齢者の認知機能と運動に関する研究をご紹介します。

東アジアと欧米の高齢者はどう違うか

認知症の研究論文というのはどちらかというと欧米のものが多く、日本や中国、韓国、台湾といった東アジアの国々の論文を見かけることは少ないのですが、おじいさんおばあさんの東と西で何かしら認知症の違いというのはあるのでしょうか。

今回取り上げる論文は台湾の高齢者の余暇活動での身体運動量と認知症の進行の関係について調べたものです。

研究では台湾に住む67歳以上の高齢者1160名を対象に、調査開始時とその後の認知機能の低下の進行について調べています。

結果を述べると、余暇で体を動かしている人は調査開始時の認知機能も高く、その後の認知機能低下の進行も遅いということが述べられています。

東アジアの高齢者は,欧米の高齢者と比較して趣味の一環としてよく体を動かしているようで、特に太極拳の集まりのようなものは、体を動かすだけでなく皆で集まり交流することで認知機能の維持が図られているのではないかということが述べられていました。

年齢を選ばない運動は良いなと思いました。

論文要旨

・背景
身体活動の変化と認知能力の変化との関係を調べた研究はほとんどない。この研究は、11年間の台湾高齢者の集団ベースのサンプルにおける身体活動の変化と認知能力の間の関連性を調査した。

・方法
1996年、1999年、2003年、および2007年に収集された台湾の高齢者の健康および生活状況について分析を行った。対象は1996年に67歳以上であった1160名であった。5つの質問からなるアンケートを使用して、認知能力を評価した。身体活動は週当たりのセッション数として自己報告された。潜在成長モデルは、社会学的変数や、生活習慣行動、および健康状態を調整した後,身体活動と認知能力の変化との間の関連性を調べるために用いられた。

・結果
多変量調整では、より高い初期身体活動レベルがより良い初期認知能力(標準化係数β= 0.17)と有意に関連していた。ベースライン(1996年)における身体活動のより高いレベルは、低レベルの活動(β= 0.22)と比較して、認知能力の低下が遅いことと有意に関連していた。身体活動の変化と認知能力の変化との関連性は、以前の2つの関連よりも強かった(β= 0.36)。この効果は、ベースライン前に認知低下を伴う参加者を除外した後も残っていた。

・結論
人生後期での身体活動は、加齢に関連した認知低下の遅延と関連している。

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J Epidemiol. 2012; 22(3): 230–237.
Published online 2012 May 5. Prepublished online 2012 Feb 18. doi: 10.2188/jea.JE20110084
PMCID: PMC3798624
Prospective Associations Between Leisure-Time Physical Activity and Cognitive Performance Among Older Adults Across an 11-Year Period
Po-Wen Ku,1 Clare Stevinson,2 and Li-Jung Chen3

コンテンツ提供:脳科学リハビリテーション