有酸素運動が海馬を大きくする!?

nounow編集部

有酸素運動をする

アルツハイマー型認知症になって最初に障害が出るのが短期記憶です。有酸素運動によって記憶を司る海馬の容量が増えたという研究結果があります。どう継続するかが鍵ですね。

海馬は短期記憶を担当する

大脳辺縁系の一部であり記憶を司る海馬。その断面がタツノオトシゴに似ており、英語名の「sea horse」から海馬と呼ばれるようになったそうです(海馬の英語名「Hippocampus」はタツノオトシゴの学名と同じです)。

認知症になると海馬が萎縮していき、そのことが記憶障害を引き起こします。認知症の記憶障害は朝食で何を食べたかを忘れるのではなく“食べたこと自体を忘れる”といいますが、海馬は生物が生きていくために必要な器官で、形・匂い・音などに関連した様々な情報を取りまとめて、物事を記憶する仕組みに重要な役割を果たしています。日々の生活の中で得た情報は短期記憶として海馬で処理され整理されて、必要かつ印象的な記憶が長期記憶として大脳皮質に格納されるという仕組みです。

認知症になると、昔のことはハッキリ覚えていても、ごく直近の記憶が障害を起こすのはこのようなメカニズムが影響しています。


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有酸素運動で、海馬は成長する!?

その海馬ですが、アメリカのピッツバーグ大学の研究チームは有酸素運動が海馬の容量を大きくするということを報告しています。健康な55~80歳男女120名を集め、1日40分の有酸素運動を半年間実行してみたところ、海馬の容量は2%も増えていたということです。維持するのみではなく、体積が増えていたということは有酸素運動の驚くべき効果だといえます。

また、継続した有酸素運動による海馬の増大は、BDNF(脳由来神経栄養因子)の活性レベルとも関連があるようです。

脳内のBDNFは神経保護やその成長、シナプスの可塑性に関与する神経細胞で産出される液状たんぱく質であり、脳内の神経新生を増大し神経成長を調整させるという大切な役割を担っています。加齢にともない脳内のBDNF発現量は低下し、アルツハイマー型認知症患者では顕著な低下が報告されています。この活性が脳内の状態において必要なことなのです。

いいことはわかっていても継続が・・・

認知機能維持によいということはわかっていても、継続して取り組むことはハードルが高いですよね。その有酸素運動について、東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授は著書で以下のように述べています。

大切なことは、一定の心拍数で有酸素運動をすること。歩くことでも、ジョギングでも、水泳でも30分程度で効果があるのですから、無理のない時間と程度で有酸素運動を楽しみましょう。せっかくがんばっても、疲れて次回につながらないのはもったいないこと。体に無理な負担はかけず、できる日は少なくとも30分は続ける、まさに「継続は力なり」です。

(引用)「生涯健康脳」ソレイユ出版/東北大学加齢医学研究所 教授 瀧靖之

認知機能維持の戦いは生涯続きます。気合いを入れすぎて体調を崩したり、挫折してしまうのではなく、「無理なく、ゆるく続ける」心構えを忘れずに。

(出典)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21282661
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