人は食べたものでできている!食べる物と気分の関係

工樂真澄

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出典元:pixabay.com

「野菜が体に良い」というのはどなたでもご存じだと思いますが、それでは野菜は私たちの「気分」にどのような影響があるのでしょう?今回は、食べる物と気分の関係について調べた論文をご紹介します。

何を食べれば幸せになれるのか?

ニュージーランドのオタゴ大学のConner博士らは17歳から25歳までの若者405人を対象に、食べた物と気分についての調査を行い、2015年に論文発表しました。

焦点を当てたのは野菜と果物、そしてスイーツとスナック菓子です。野菜や果物には缶詰や冷凍野菜も含まれますが、野菜ジュースやドライフルーツは含みません。スイーツとはチョコレートやキャンディー、ケーキ類などを指し、スナック菓子はポテトチップスやポテトフライを含みます。

被験者は毎日、朝起きてから夜までに、何度これらの食べ物を食べたかを報告します。同時に、その日の気分についても詳細な報告を行いました。

ポジティブな気分は「楽しい」「心地よい」「穏やかだ」など9つに細分化され、それぞれについて5段階で評価してもらいました。ネガティブな気分も同様に9つに分けられ、それぞれの項目について5段階で評価してもらいました。

「幸福感」の度合いを測るためには、「今日、目的をもって意味のある一日をおくった」、「今日、自分のしていることに興味をもって打ち込めた」といった質問に7段階で答えてもらいました。

博士らはさらに、「好奇心」と「創造性」の度合いを測るために次のような質問を用意しました。好奇心を測るためには、「今日、何か新しい経験をしようとした、または新しい物を探し求めた」、「今日、新たな環境に備えて、できるだけ多くの情報を積極的に探した」などの質問に7段階で答えてもらいました。また、創造的な一日をおくれたかどうかについて、5段階で評価してもらいました。

野菜を食べる人ほど幸福感が強い

約2週間にわたる調査結果を解析したところ、野菜を多く食べる人は果物もたくさん食べることがわかりました。またスイーツをよく食べる人ほど、スナック菓子を多く食べる傾向がありました。

大まかな傾向として、野菜と果物をたくさん食べる人のほうが、幸福感や好奇心、創造性さらにポジティブな気分が強いことがわかりました。野菜を多く食べた日には幸福感やポジティブな気分が強く、ネガティブな気分になりにくいことも明らかになりました。

これに対して、スナック菓子を多く食べる人はネガティブな気分が強く、幸福感の度合いも低くなる傾向がありました。しかし面白いことに、スナック菓子を食べる人は好奇心や創造性は高いことがわかりました。

また、スイーツと幸福感には今回の研究では、明らかな相関は見られませんでした。

食べたものが翌日の幸福感にどのように影響するかを調べたところ、野菜や果物は翌日の気分に影響を与えてはいませんでした。しかし、スイーツを食べた翌日にはポジティブな気分が強くなり、好奇心が旺盛になることもわかりました。これらの結果に男女差はありませんでした。

食べる物で気分は変えられる

食べた物がどのように気分に影響を与えているのかについては推論の域を出ませんが、論文では以下のように説明されています。

野菜や果物に多く含まれるビタミン類は、ドーパミンやセロトニン、オキシトシンといった、幸福感を生じさせる神経伝達物質の合成に欠かせません。ドーパミンの合成が進むことで気分が前向きになり、創造性や好奇心につながる可能性があります。

また果物に含まれる「糖分」はセロトニンやドーパミンの前駆物質である、トリプトファンやチロシンといったアミノ酸を含みます。スイーツも同様に糖分を多く含みますが、スイーツに主に使われている生成された砂糖は、急激にまた一過性に気分を変える作用があるようです。これに対し、果物に含まれる糖類は穏やかに働く代わりに、その効果が持続するとされます。

また論文では、野菜や果物を食べた人は幸福感を感じやすくなることで、さらに健康的な食べ物を選ぶといった「良い循環」があるのではないか、と述べています。今回ご紹介した論文が、日頃から野菜不足という方にとって食生活を見直すきっかけになれば、と思います。

ご紹介した論文
On carrots and curiosity: eating fruit and vegetables is associated with greater flourishing in daily life.
Conner TS et al.Health Psychol. 2015 May;20(2):413-27.