高齢者ドライバー問題〜改正道路交通法の認知症対策とテクノロジー

nounow編集部

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高齢者ドライバーの交通事故増加を背景に、改正道路交通法で認知症対策が強化されました。診断する医師の数の確保、医師の負担をどのように軽減するかなど解決すべき課題とともに、テクノロジーによるこの問題への取組みの動きもあわせてご紹介します。

改正道路交通法の認知症対策概要

3月12日より改正道路交通法がスタートし、75歳以上の運転免許保持者が「認知機能が低下した場合に行われやすい一定の違反行為(18基準行為)」で、臨時の認知機能検査を受けることなどが義務づけられました。

これまで75歳以上のドライバーは、3年に1回免許証更新時に認知機能検査を受け、結果によって「認知症のおそれあり(第1分類)」「認知機能低下のおそれあり(第2分類)」「認知機能低下のおそれなし(第3分類)」の3種に分類され、合計2時間半の高齢者講習を受講することによって免許の更新が可能でした。

この検査で第1分類と判定されたドライバーが、一定期間内に上述の18の違反行為をすると、臨時適性検査を受け、もしそこで認知症と判断された場合は免許取り消しの対象となりました。

今回の改正道路交通法では、第1分類に入るドライバーは、全員臨時適性検査を受けるか、主治医など医師の診断を受け、その診断書の提出が義務づけられるようになりました。

また、第1分類及び第2分類に入るドライバーは、合計3時間の高度化講習を受けて免許更新することになり、実車指導の様子をドライブレコーダーで記録した実車指導時の運転の様子の映像にもとづく個人指導プログラムも組まれるとのことです。

認知症を診断する医師の負担が増加

今回の改正道路交通法の施行により、医師の診断の対象となるドライバーの数は、これまでの年間4000人程度から約5万人に増えると見込まれています。

認知症の専門医は1500人ほどと数が限られるため、各都道府県警が医師会などに協力を要請。全国で約3000人の医師が協力を承諾しているとのことですが、地域によって偏在もあり、さらなる協力依頼を続けていくとのことです。

また認知症の診断によって、運転免許の停止や取り消しにつながるとなると医師の責任は重く、医師が診断を躊躇する可能性もあります。そのため、警察庁が認知症の診断書のモデル書式を一部簡略化したり、日本医師会が認知症の正確な診断に役だつマニュアルを作成するなど医師の負担を軽減する施策も講じられています。

(毎日新聞 3月12日 改正道路交通法 12日施行 認知症チェック強化

テクノロジーが高齢者ドライバー問題を解決する?

認知機能の低下の兆候をいち早く把握したり、脳トレーニングによって運転に必要な認知機能向上を図る動きがでてきています。

改正道路交通法施行にあわせて、株式会社ベスプラは運転免許更新の認知機能検査サイトをオープンしています。
https://www.braincure.jp/cognitivetest/dl/
普段からこのような検査で自分の認知機能の低下の兆候を把握することは事故減少につながる可能性があります。

先週、高齢者の歩行速度から認知症の兆候を把握するサービスを取り上げましたが( AI、ロボット、VRなど最新テクノロジーで認知症予防)、自動車の運転の状況から認知症の兆候を発見し、警告をするなどのサービスはすぐにでてくるのではないでしょうか?

また、ネスレウェルネスクラブが展開する米国Positscience社のBrainHQの脳トレーニングを受けた人は、自動車運転のリスクが低くなるとする研究が昨年のアルツハイマー学会で発表されています。

具体的には、路上運転中の反応時間が短くなる、自己過失による自動車事故が48%減少する、クルマを運転して自由に行動できる状態を10年間維持できる、などと報告されました。
(引用:介護ポストセブン「脳トレで認知症のリスクが約半分に」カナダの学会で発表

高速バスのウィラーエクスプレス関東・ベイラインエクスプレス社が今年1月よりバス運転士の脳トレにBrainHQを導入したとのことです。
(引用:バスとりっぷ バス運転士の脳を活性化!ウィラーエクスプレスが取り組む「脳トレ」安全対策

自動運転車の時代が来るまでは、車を安全に運転するために自分の認知機能の状態を把握し、必要であれば医師の診断を受けたり、適切なトレーニングを行うなどの意識をもつことが求められます。