短時間の昼寝が認知症を予防する!?

takahiro(ペンネーム)

昼寝(イメージ)
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30分以内の昼寝が認知機能維持に繋がるという研究結果があります。また、短時間で浅い睡眠のうちに起きると午後の作業効率もあがりますが、1時間以上も寝ると逆効果のようです。

短時間の昼寝の効果

疫学研究では、30分以内の短時間の昼寝に認知症を防ぐ効果があるといわれています。

2000年、朝田隆氏(当時国立精神神経センター)らは、337名のアルツハイマー病の方とその妻や夫260名の間で昼寝の習慣(頻度と時間)を比較調査し、30分以下の昼寝はアルツハイマー病のリスクを顕著に減らし、30分〜60分でも有意にリスクは低く、逆に60分以上ではリスクが高まることを論文で示しました。短時間の昼寝の効果は、アルツハイマー病の危険因子である遺伝子ApoEの特定タイプでも特に優れていました。

その後、2010年に朝田隆教授(茨城大学)らは、茨城県利根町で介入研究を行っています。65歳以上の400名に、週3~5回の運動、魚油成分のDHA・EPAなどの補給、30分以内の昼寝を指導したところ、介入しなかった1,500名に比べて認知症の発症率が3/4程度に減少し、記憶テストの成績も向上していた、と研究会で発表しています。

睡眠と認知機能低下の関係

次に睡眠状況と認知機能低下の関係をみた2007年の論文でカリフォルニア大のクリスティン・ヤッフェ氏が発表した研究を紹介します。

この研究は1986年に開始された本来は骨粗鬆症の危険因子を探るのが目的の疫学研究ですが、この研究の対象者2,474名の女性(平均69歳)の認知機能を15年にわたって観察し、そのあとで腕に体動を感知するアクチグラフを取り付けて睡眠状態を観察しました。

すると、15年間認知機能を保ってきた女性に比べて、認知症ではないものの認知機能がMMSE(認知症の検査で行われる代表的な検査法)で3点以上低下した女性では、入眠障害(1時間以上寝付けない)や中途覚醒(睡眠中断)の割合が有意に多くみられました。また、認知機能低下群では2時間以上昼寝する割合が多くみられました。

認知機能が低下してきている例では、夜間の睡眠の質が不良で、代わりに2時間以上昼寝するという傾向が示されたわけです。認知症を引き起こす脳病変によって睡眠の質が低下したのか、それとも睡眠の質が悪いと認知機能の低下を引き起こすのか、今後の研究が待たれます。

短時間の昼寝が優れている理由

では、なぜ短時間の睡眠が認知症の予防によいのでしょうか?

睡眠には深度があり、深度は寝始めてから徐々に深くなるのですが、高齢者では若者のようにスッと深いところに到達するのではなく、ゆっくりと深い眠りに入っていきます。20分程度の睡眠だと、ウトウトと浅い睡眠になった頃なので、サッと目覚めてその後の頭の働きがすっきりします。このような短時間の昼寝のあとでは作業効率が上がることも研究で示されています。

眠れずに夜更かしする(イメージ)
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一方、ゆっくりと深度が深くなるといっても、1時間も寝ると深い睡眠に入っているので、なかなか目覚められなくなってしまい、頭の回転を取り戻すのに時間がかかって逆効果なわけです。さらに、昼間に深い睡眠をとると、夜の睡眠が浅くなってしまいます。そうでなくても、高齢になると夜の睡眠が浅くなる傾向があります。また夕食後のウトウトも夜間不眠の原因となります。

このような要素を考えると、昼寝は短時間にすることが効果的です。

(出典)Associations between retrospectively recalled napping behavior and later development of Alzheimer’s disease: association with APOE genotypes.
Preclinical cognitive decline and subsequent sleep disturbance in older women.