仕事で常に時間に追われている人は認知症になりやすい

大塚真紀

仕事で時間に追われる(イメージ)
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仕事で時間に追われたり、ストレスを抱えすぎていませんか?スウェーデンでの30年近いスパンの観察研究によると、50代で仕事上の時間的ストレスに追われている人は、認知症発症リスクが○○倍になるんです!

ストレスと認知症の関係とは

現代人でストレスがないと自信を持って答えられる人はほとんどいないかもしれません。働いていると仕事だけでなく人間関係でもストレスを感じますし、女性の場合は育児や家事などの家庭のストレスも加わることが多いです。そしてストレスは、糖尿病やうつ病、心疾患などさまざまな病気のリスクになることがわかっています。

また、ストレスが認知症やアルツハイマー病の発症に影響を与えていることは、今までもすでにいくつかの研究で報告されてきました。具体的には、持続的にストレスを感じるとコルチゾールというホルモンが分泌され、記憶に関わる脳の海馬という部分を萎縮させ、認知症を引き起こすという報告があります。

50代の仕事のストレスは認知症発症のリスクになる

スウェーデンの研究チームは人を対象に約30年間にわたり臨床研究を行い、50代の仕事のストレスが認知症やアルツハイマー病を発症させる可能性があることを2016年4月に「The Journals of Gerontology」誌に発表しました。

今回の研究では、50代の人を対象に仕事のストレスがあるかどうか判断するために2つの質問を行いました。
1つ目は、「どれくらいの頻度で仕事を処理するのが大変だと感じますか?」2つ目は、「どれくらいの頻度で仕事において時間に追われていると感じますか?」というものです。
質問に対する回答は、1=一度もない、2=めったにない、3=時々ある、4=しばしばある、5=常にある、の5段階で答えるようになっていました。
1511名の研究の開始時には認知症がない50代の人が参加し仕事のストレスの有無に対する質問に答え、70-80代になった時に認知症やアルツハイマー病の発症の有無を調べました。今回の研究における平均の観察期間は28.5年だったので、既存の報告に比べて十分に長い期間経過を追っているので信頼できるデータと考えられます。

結果としては50代に仕事でストレスを感じている人は、感じていない人に比べて認知症を発症するリスクが1.53倍、アルツハイマー病を発症するリスクは1.55倍となりました。

今回の研究で興味深い点は、1つ目の質問である「仕事を大変だと思うかどうか」は認知症やアルツハイマー病のリスクにならず、2つ目の「仕事で時間に追われていると思うかどうか」ということがリスクになることが明らかになったことです。つまり仕事で忙しく、常に時間に追われていることの方が認知症のリスクであることがわかりました。

今回の研究で初めて、50代が感じている仕事に関するストレスが認知症やアルツハイマー病の発症リスクになることが明らかになりましたが、仕事以外のストレスに関しては評価していないという研究の限界があります。今後は仕事以外のストレスが認知症の発症に与える影響を検討する研究やストレスを改善するような対策をすると認知症の発症が減るかどうかを検討する研究が行われることが期待されます。

ストレスを軽減して認知症を予防しましょう

ストレスを完全になくすことやストレスを感じないようにすることは実際には難しいと考えられます。では、どのようにストレスに対応すればよいかというと、自分の中でストレスを軽減する方法をいくつかもっていることが大切です。

ペットと遊ぶ、お風呂にゆっくりつかる、友人とお酒を飲みながら話す、自分の好きな趣味に没頭する、など何でもよいので自分がリフレッシュできる方法を普段から知っておくとよいです。

ストレスは認知症だけではなく、糖尿病や心疾患、がんなど万病のもとと考えられています。うまくストレスを減らして認知症をはじめとするさまざまな病気を予防しましょう。

(参考論文・参考資料)

Chronic stress as a risk factor for Alzheimer’s disease.

Machado A, Herrera AJ, de Pablos RM, Espinosa-Oliva AM, Sarmiento M, Ayala A, Venero JL, Santiago M, Villarán RF, Delgado-Cortés MJ, Argüelles S, Cano J.
Rev Neurosci. 2014;25(6):785-804.


Midlife Work-Related Stress Increases Dementia Risk in Later Life: The CAIDE 30-Year Study.

Sindi S, Hagman G, Håkansson K, Kulmala J, Nilsen C, Kåreholt I, Soininen H, Solomon A, Kivipelto M.
J Gerontol B Psychol Sci Soc Sci. 2016 Apr 8.