ストレスの多い中年女性は認知症になりやすい?

佐藤洋平

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出典元:pixabay.com

昨年NHKの「キラーストレス」という番組が話題になりましたが、過剰なストレスは体と脳に大敵です。今回は中年女性のストレスと認知症発症リスクの関係に関する論文をご紹介します。

ストレスと認知症

日常生活を送るにあたって多少のストレスは避けがたいと思うのですが、これも継続的になったり強すぎたりするとココロやカラダを傷めることがあるようです。

最近は女性のストレスが話題にされることも多いのですが、これは認知症の発症とどのように関係してくるのでしょうか。

今回取り上げる論文は、中年期に高いストレスを感じる女性が認知症にどれ位なりやすいかについて調べたものです。

研究ではスウェーデンに住む女性1462名を対象に日常生活でのストレスをどれ位感じるかについて調査を行い、その後定期的に同様の調査を数回はさみながら20数年の追跡調査を行っています。

結論を述べると、ストレスを感じる頻度が高いほど、またストレスを感じる期間が長いほど、認知症発症リスクが高まることが示されています。

具体的にはストレスを頻繁に感じると答えた女性はおよそ60%認知症リスクが増大し、数十年の追跡調査でストレスを感じると答えた回数が一回であれば発症リスクは10%,2回であれば70%,3回であれば250%押し上げられることが示されています。

認知症の発症に関わるものはいろいろあるとは思うのですが、無理のないライフスタイルというのも大事なんだろうなと思いました。

論文要旨

認知症患者数は、世界的な高齢化とともに劇的に増加している。それにもかかわらず、この病気の原因は十分に理解されていない。本研究は、中年期の心理的ストレスと晩年の認知症の発症との関係を分析することを目的として行われた。

スウェーデンに住む38-60歳の女性(n = 1462)を対象に1968-69年に検査を行い、1974-75,1980-81,1992-93および2000-03で再検査を行った。精神的ストレスは、1968年、1974年および1980年の標準化された質問に従って評価された。

精神病学的検査、情報提供者のインタビュー、病院記録およびレジストリデータからの情報に基づいて、精神障害の診断および統計マニュアルに従って認知症を診断した。

35年間の追跡期間中、161人の女性が認知症(105のアルツハイマー病、40の血管性認知症および16の他の認知症)を発症した。

頻繁にストレスを感じると回答した女性は認知症リスクのハザード比(95%信頼区間)は1968年で1.60(1.10-2.34)、1974年で1.65(1.12-2.41年)、1980年で1.60 (1.01~2.52)であった。

1968年と1974年に報告された頻繁にストレスを感じるとの回答は、アルツハイマー病と関連していた。

1回、2回または3回の検査でストレスを報告することは、認知症リスクが継続して高くなることと関連していました。

認知症のハザード比(95%信頼区間)は、1回の検査で頻繁/一定のストレスを報告する女性では1.10(0.71-1.71)、2回の検査でストレスを報告した場合は1.73(1.01-2.95),3回の検査でストレスを報告した場合は 2.51(1.33-4.77)であった。

結論として、中年女性の心理的ストレスと認知症、特にアルツハイマー病の発症との関連性を見出した。

我々の発見を確認し、これらの関連の潜在的な神経生物学的メカニズムを研究するためには、より多くの研究が必要であると思われる。

https://academic.oup.com/…/Midlife-psychological-stress-and…
Brain. 2010 Aug;133(Pt 8):2217-24. doi: 10.1093/brain/awq116. Epub 2010 May 20.
Midlife psychological stress and risk of dementia: a 35-year longitudinal population study.
Johansson L1, Guo X, Waern M, Ostling S, Gustafson D, Bengtsson C, Skoog I.

コンテンツ提供:脳科学リハビリテーション