認知症予防法の情報を見極める

nounow編集部

その見極めが難しい「認知症予防」の手法や考え方

今、認知症予防が注目され様々な予防法がメディアで紹介されているが、科学的根拠のあるもの・ないもの玉石混交。これら情報の見極め方とは?

「認知症予防に○○がきく」

ここ2年ほど、認知症がTVや雑誌にとりあげられる機会がかなり増えた。

日本が超高齢社会になり2025年には認知症患者が700万人になると試算されるなど、大きな社会的課題として認識されてきたからに他ならない。

そして様々なメディアに「認知症予防に ○○がきく」という情報が踊らない日はないといっても過言ではないが、何を基準にこれらの情報を評価すればいいのだろうか?

どの手法での研究か?~ランダム化比較試験とコホート研究

認知症予防研究についてランダム化比較試験とコホート研究(イメージ)Photo by pixabay

これらの情報の科学的根拠(エビデンス)のレベルを評価するには、その研究が 1)ランダム化比較試験によるものなのか 2)コホート研究によるものなのか を引用されている論文でまず確認したい。

仮に脳トレゲームが認知症予防に有効かどうかの研究があったとして、ランダム化比較試験とは、多くの被験者を集めて脳トレゲームをする集団としない集団に無作為に振り分けどちらが認知症になりにくいかを長期にわたって観察することだ。

ランダム化比較試験は薬の効果の検証にも取り入れられており臨床試験でも最も科学的信頼性が高いとされる。

一方コホート研究とは、ある地域の住民の生活習慣を長期にわたり追跡しどのような生活習慣をもつ人がどんな病気になりやすいかを観察する方法だ。コホート研究でも例えば1日3杯以上コーヒーを飲むことと認知症予防の関連性(相関関係)を明らかにする可能性はある。しかし両者の因果関係を説明しているとはいいきれない。他の要因が認知症を予防している可能性を否定できないからだ。

エビデンスレベルで情報を見極める

またさらに詳しくエビデンスのレベルをチェックしたい場合は少し専門的になるが以下を参考にしていただきたい。

エビデンスレベルって何?
「エビデンスレベル」って何?~ランダム化比較試験のメタ解析から、専門家個人の意見まで
お薬Q&A ~Fizz Drug Information~
薬や病気についての誤解や偏見を全て解く! 薬剤師が作る専門家集団『Fizz』のDrug Information

エビデンスレベルには一番低い「専門家個人の意見、専門家委員会報告」レベルから、一番高い「ランダム化比較試験のメタ解析」(複数のランダム化比較試験の結果を再解析したもの)レベルまで全部で8段階ある。

「認知症予防に○○がきく!」という情報の中には、コホート研究レベルまでもいかない、エビデンスレベルとしては最も低い「ある専門家の見解・意見」であったり 2番目にレベルが低い「ある一人の患者の症例報告」であるものも散見される。

これは認知症に限らず様々な健康法や病気の予防法などにもあてはまる。

「それ、エビデンスは何?」

私たちは有名な医師や大学教授がTVで語る健康法や予防法はなんでも信じてしまいがちだが、ランダム化比較試験やコホート研究を根拠とするものではなく単に「その方の意見」「その方の体験にもとづくもの」「ある一人、もしくは数名の症例」である場合 実はエビデンスレベルは低いという認識が必要である。

科学が急速に進化する時代だからこそ情報を見る目、リテラシーを養うべき。

まずは、何か健康に関する情報を見聞きした際、反射的に「それ、エビデンスは何?」と頭に浮かぶようにしたい。