教えて!認知症予防〜脳神経外科医篠浦先生に聞く(4)

篠浦伸禎

コラム画像‐3

脳外科医篠浦先生のシリーズコラム第4弾。前々回玄米菜食、前回は玄米、そして今回は菜食つまり野菜を食べることがなぜ認知症を含めた脳の病気の予防にいいのかについて解説いただきました。

抗酸化力にすぐれるファイトケミカル

「抗酸化」「抗硬化」「抗糖化」の三つの抗が、認知症を含めた脳の病気の予防に重要な役割を果たしていますが、今回は「抗酸化」についてのべます。

野菜は海藻や果物とならんで、ビタミンやミネラルが豊富に含まれるほか、ファイトケミカル(植物化学物質)とよばれる栄養素が多く含まれています。これらの栄養素は、抗酸化力がすぐれています。

その中で最近注目されつつあるファイトケミカルについてですが、なぜ、野菜はファイトケミカルを多く含んでいるのでしょうか。

まずひとつは、野菜が光合成を行うためには、当然太陽光が不可欠です。しかし、太陽光に含まれる紫外線は、一日中同じ場所にあって移動ができない野菜に対して大量の活性酸素を発生させることにより、野菜に強いダメージを与えます。この紫外線が発生させる活性酸素の害に対抗するために、野菜が皮や葉の表面に作り出すのが、抗酸化作用にすぐれたファイトケミカルなのです。

また、やはり移動ができない状況で、野菜は虫などの害からも自分を守らなければなりません。そのためにもファイトケミカルは働きます。にんにくのファイトケミカルから発生する臭いはにんにくを傷つけることにより発生しますが、この匂いにより害虫から身を守るためといわれています。

抗酸化作用をもつファイトケミカルで有名なのは、ポリフェノールになります。赤ワインに含まれるポリフェノールは、優れた抗酸化作用により、血管内でコレステロールの酸化を防ぎます。フレンチパラドックスといわれる、フランス人が動物性脂肪を多く摂っても心臓病になりにくい理由のひとつは、ポリフェノールの作用によります。アントシアニンの他、プロアントシアニン、カテキン、リグナン、クルクミンもすべてポリフェノールの仲間です。

ファイトケミカルの免疫増強作用

ファイトケミカルにはさらに、免疫増強作用があります。作用機序としては、免疫細胞の数を増やす、免疫細胞を活性酸素の攻撃から守る、免疫細胞を活性化してその働きを高める、などがあります。これにより、脳腫瘍などの脳の病気も防ぐことになります。

免疫細胞の数を増やしてくれるファイトケミカルには、キャベツのイソチオシアネート、バナナのオイゲノールがあります。活性酸素の攻撃から免疫細胞を守るのが、タマネギやニンニクに含まれるシステインスルホキシド類になります。すでに触れたアントシアニンなどのポリフェノールも、抗酸化作用で免疫細胞をしっかりガードします。免疫細胞を活性化するのは、ニンジンなどに含まれるβ―カロテンになります。

ファイトケミカル摂取の注意点

最後に、ファイトケミカルを有効に摂取するには、2つ注意点があります。

ひとつは、ファイトケミカルは野菜の皮の部分に多いので、皮を剥いて食べるとファイトケミカルがあまり摂れなくなります。そのため、できるだけ皮つきで野菜を食べることが推奨され、できれば無農薬有機栽培の野菜がいいと思われます。

もうひとつは、ファイトケミカルをより多く取るには、野菜はそのまま生ではなく、加熱してたべるということです。そのために最適なのは、野菜のスープを作ることです。野菜の茹で汁は、生の搾り汁の数百倍の抗酸化力があるという報告があります。

ただし、生の野菜には酵素があり、これも認知症などの脳の病気の予防に効果的です。これに関してはまた次回のべたいと思います。