教えて!認知症予防〜脳神経外科医篠浦先生に聞く(5)

篠浦伸禎

コラム画像‐3

脳外科医篠浦先生のシリーズコラム第5弾。前回は、野菜を食べることがなぜ認知症を含めた脳の病気の予防にいいのかについて、「抗酸化」に関して解説頂きました。今回は「抗硬化」と「抗糖化」および酵素に関して、野菜を摂取することがなぜいいのか解説いただきます。

抗硬化とは?

「抗硬化」とは、認知症や脳血管障害を予防するために動脈硬化を進ませないこととを意味します。動脈硬化によいとされる栄養素は、食物繊維、カリウム、マグネシウム、カルシウム、たんぱく質、βーカロチン、ビタミンCなどがあげられます。野菜は、これらの栄養素を豊富に含んでいます。

そのなかで食物繊維は、腸内の余分なナトリウムを排出する働きがあります。それにより、血圧を下げる効果があります。

また、食物繊維は胆汁酸を排出します。その結果、肝臓の働きをよくし、コレステロールを減少させ、動脈硬化の予防に対して効果的に働きます。

さらに食物繊維の多い野菜を摂取することは、ビフィズス菌や乳酸菌などの有用菌(善玉菌)を増やします。有用菌は大腸菌やウェルシュ菌などの有害菌(悪玉菌)の産生を防ぎ、腸内環境を整え、免疫力を高めます。

食物繊維を多く含む野菜としては、イモ類、豆類、ごぼう、オクラ、キャベツ、ニンジン、モロヘイヤなどがあります。

抗糖化とは?

 次に「抗糖化」です。

まず糖化反応が起きると、老化促進物質であるAGE(糖化最終生成物)を作り出してしまい、AGEがたまると、体を構成するタンパク質が本来の役割を果たさなくなります。

糖化を防ぐには、まず、食べ過ぎないこと、さらに血糖値を急激に上昇させない食べ方を心がけます。

血糖値を急激に上昇させないためには、GI(グリセミック・インデックス)値がより低い食品を選ぶようにします。
GI値とは、食品が体内で糖に変わり、血糖値が上昇するスピードを数値化したものです(食品100g当たり、ブドウ糖を100とした場合の血糖上昇率)。GI値が高いものほど血糖値の上昇は速くなり、低いものほど血糖値はゆっくり上がります。

低GI値の糖質食品としては、玄米、雑穀米(55)、さつまいも(55)、大豆(30)などが挙げられます。野菜は全般的に低いのが特徴です。

普段の食事では、食べる順番も大事です。まず、GI値の低い野菜から食べ、次にタンパク質を多く含む肉や魚などを食べて、炭水化物のごはんやめん類は最後にします。

酵素について

最後に酵素についてのべます。

人体の機能に関しては、すべて酵素(代謝酵素)の反応が関与しています。しかし、体の酵素製造能力には限りがあるといわれています。そのため食物酵素不足の食物を摂取すると、消化の段階で体は消化酵素をより多くつくって分泌しなければならないため、限りある酵素製造能力の中で余分に消化酵素をつくる分だけ代謝酵素を作る量が減り、そのため体の機能にトラブルが生じて病気になったり、治りにくくもなるといわれています。なぜならば、代謝酵素の中には病気を防いだり治したりする酵素があるからです。

たとえば、人間の脳内にはインスリン分解酵素という代謝酵素が存在し、アルツハイマーの原因となる物質(アミロイドβ)を分解しています。そのためインスリン分解酵素が正常に働いていれば、アルツハイマーにかかりにくい状態です。

しかし、たとえば糖尿病の人はインスリン分解酵素が少なくなっており、そのためアルツハイマーの原因物質を分解する力が弱く、アルツハイマーになるリスクが高まってしまいます。

糖尿病の大きな原因は、野菜不足などの食生活の乱れにあります。野菜に含まれている酵素が不足していることが、体内の代謝酵素の不足をまねき、アルツハイマーなどの病気を発症していると推測されます。

野菜の酵素を摂取する注意点は、生の野菜をとる、もしくは大量にとるにはジュースをつくることです。なぜならば、48度以上で酵素は失活するからです。

このように、野菜の摂取は認知症などの脳の病気の予防に大きな役割を果たします。そのためには、野菜の生(ジュースも良い)か煮たものを摂取することが推奨されます。