教えて!認知症予防〜脳神経外科医篠浦先生に聞く(6)

篠浦伸禎

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名医篠浦先生のシリーズコラム第6弾。前回まで日本食の基幹をなす玄米菜食の効用について解説いただきました。今回は日本食のある意味最大の特徴である発酵食品、その代表選手である大豆を原料として作られた味噌と納豆について解説いただきます。

栄養価高く消化吸収されやすい味噌

まず味噌に関してですが、大豆が発酵により味噌になると、大豆たんぱく質が酵素によって加水分解されて約60%が水分に溶け、約30%がアミノ酸になります。炭水化物もブドウ糖になり消化吸収されやすくなります。そのため、大豆そのものを食べるよりも、味噌で食べるほうが栄養素は消化吸収されやすくなるわけです。

さらに味噌は、大豆にはないアミノ酸やビタミン類が発酵によって多量に生成され、栄養価はさらに優れたものになっています。その中には生命を維持するために不可欠な必須アミノ酸8種類がすべて含まれています。それにプラスして、ビタミン(B1・B2・B6・B12・E・K・ナイアシン・葉酸・パントテン酸・ピオチン)、無機質(ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム、リン・鉄・亜鉛・銅・ヨウ素・セレン・クロム・モリブデン)、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、食物繊維などが含まれています。

そのため味噌は、脳卒中や認知症、骨粗しょう症のような生活習慣病のリスクを下げます。これは、発酵により抗酸化力を高める物質が発生し、老化を制御する物質(たとえばDDMPサポニン)ができるためもあります。さらに、血圧を下げる物質、コレステロールを下げる物質も味噌の中には含まれます。

味噌の塩分はそれほど多くない

ところで昔は、日本人は塩分を摂りすぎており、味噌汁はその代表的なひとつだといわれてきました。では、味噌汁はどのくらい塩分があるのでしょうか。

味噌汁100ml中の塩分含有量は1%つまり1gくらいといわれています。このように我々の印象と違って、味噌汁の塩分は必ずしも多くはありません。また、味噌汁を作るときに具をたっぷり入れれば、汁の量を減らすことができ、塩分の摂取も少なくなります。塩分の摂り過ぎで間題になるのは、ナトリウムの過剰摂取が高血圧などの原因になるためですが、同時にカリウムを摂取すると、ナトリウムは体外に排泄されやすくなります。そのため、味噌汁の具にカリウムを多く含む緑黄色野莱や芋類、海藻類のワカメなどを組み合わせることで、ナトリウムの摂取を抑えることができます。

さらに、同じ塩分量でも、食塩水そのものよりも、味噌から摂取する塩分のほうが血圧の上昇を抑えられることがわかってきています。

このように味噌は認知症予防に有用なものを多く含み有用です。

栄養素豊富な納豆

次いで、納豆に関してですが、納豆は、煮た大豆を納豆菌で発酵させて作る食品です。味噌と同様、本来の大豆に含まれている栄養素に加え、発酵させることによりさらに別の栄養素が加わっています。

その栄養素は

1)大豆イソフラボン:コレステロールの増加を防ぎ、動脈硬化を予防する作用があります。
2)ミネラル:カルシウムが含まれているので、骨を丈夫にしてくれます。 また、マグネシウムがふくまれているので、エネルギーの代謝を助け、動脈硬化を予防してくれます。
3)食物繊維:糖分の吸収速度を遅めることで、血糖値の上昇を抑え、生活習慣病を予防する効果があります。
4)ナットウキナーゼ:納豆菌がつくり出す酵素であり、血液に含まれる「フィブリン」を分解して、血液をサラサラにし、血栓を予防してくれます。
などです。

以上の他にも納豆は様々な栄養素が含まれており、味噌同様、認知症や脳卒中予防には極めて有用な食品です。