教えて!認知症予防〜脳神経外科医篠浦先生に聞く(13)

nounow編集部

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脳の名医篠浦先生のシリーズコラム第13弾。スーパーフードの最後にマルンガイ、そして嗜好品であるコーヒーや緑茶について解説いただきます。

栄養素のほとんどを含むマルンガイ

スーパーフードの最後に、マルンガイについてのべます。

これもノニ同様に熱帯地方で自生している植物であり、やはり必須栄養素のほとんどを含んでいます。そのため、発展途上国では特に子供や妊婦に栄養補給をするための重要な食品になっています。

様々な有効成分がありますが、その中には、ギャバ、ルテイン、ポリフェノールも含まれており、このため血圧を下げ、目をみえやすくし、抗がん作用も臨床的に認められています。脳に関しても、不眠症を改善し、気持ちを安定させる作用が報告されています。また血圧を下げ、糖尿病を改善ことで動脈硬化を防ぐ作用があるため、脳卒中を予防する作用も期待されます。

脳に良いコーヒーや緑茶

では最後に、脳にいい嗜好品についてのべます。

まず、コーヒーです。コーヒーの持つ覚醒作用は、コーヒーの成分のひとつであるカフェインによるものです。カフェインには、認知機能や注意力を高め、ストレスを軽減させる作用があります。カフェインが注意力を高める作用には、カフェインの摂取で、脳内の神経伝達物質であるドーパミンの結合を増やすことが関与しているようです。

ドーパミンは、報酬系といって、たとえばおいしいものを食べようとするときに分泌され、喜びを感じるときに働く物質です。人は楽しいことをすると元気になり頭が働きだすように、注意力も増すのでしょう。

カフェインが活性化する脳の部位は、帯状回だといわれています。ストレスで不安になったりきれたりするのは扁桃体の過剰な活性化が関わっており、帯状回はその扁桃体をコントロールする機能があります。その帯状回が活性化されるため、認知機能が上がり、ストレスを軽減するのでしょう。

コーヒーの有効成分はカフェインのほかに、ポリフェノールがあります。ポリフェノールを含むことで有名なものに赤ワインがありますが、実はコーヒーはポリフェノールを赤ワインと同じくらいの濃度で含んでいます。そのためか、日本人はポリフェノールの約半分をコーヒーから摂取しています。ポリフェノールは抗酸化作用があり、動脈硬化を予防します。ポリフェノールを摂取することで、認知症や脳梗塞の予防効果がある、といわれています。

コーヒーに含まれるカフェインには脳を活性化してストレスに強くなる作用が、ポリフェノールには抗酸化作用があるため、コーヒーをのむことで脳の様々な病気を予防できる可能性があることが報告されています。

またコーヒーをふだんから飲むことが、目安はだいたい4杯くらいですが、パーキンソン病の予防になる可能性があることがわかってきました。その理由として、さきほどのべたカフェインが、ドーパミンの結合を増やす作用があることが大きく関わっています。パーキンソン病は、脳内にあるドーパミンの枯渇から始まるため、コーヒーにパーキンソン病の予防作用があるのは当然予想される話です。

さらに、コーヒーを摂取することで、アルツハイマー病のような認知症の予防作用があること、女性の脳卒中の発症率が低くなること、神経膠腫という脳腫瘍の発症を減らす可能性があること、も報告されています。このように、コーヒーをふだんから飲むことで、さまざまな脳の病気を予防もしくは軽減できる可能性があることが最近わかってきました。

日本人の嗜好品である緑茶も、大規模調査で認知症予防に効果的であることがわかってきました。動物実験によると、その成分であるカテキンが関係しているようです。

最後に嗜好品の最たるものであるお酒に関しても、赤ワインでいうと毎日1から4杯飲む人は、そうでない人に比べて脳梗塞や認知症になりにくいといわれています。ストレスが解消されるためでしょう。しかし、お酒は適量であれば脳にいいのですが、なかなか適量で終わらないのが問題点です。これもドーパミンのなせるわざで、お酒でドーパミンがでると、もっと欲しくなるという報酬系特有の性質があり、これを乗り越えるにはよほど強固な意志が必要かもしれません。