中年期からの高血圧は認知症リスクが10倍!?

nounow編集部

高血圧 

糖尿病とともに認知症と関係が深いといわれる高血圧。中年期の高血圧症が脳血管性認知症のリスクをあげることがわかりました。まずは減塩意識をもちましょう。(監修:医師 大塚真紀)

糖尿病以外にもいた、認知症と相性の良いアイツ

認知症予防の関連ワードとして最近よく目にするのが糖尿病。この糖尿病についてはnounowでも一度取り上げました。
「認知症予防のためにも、まずは糖尿病を予防せよ」

そしてもう一つ、認知症との関連頻出ワードは「高血圧」です。今回は高血圧と認知症との関係性についてクローズアップします。

日本の高血圧の現状

厚生労働省の「平成22年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、日本人30代以上からの推計で高血圧症有病率は男性が60%、女性で44%が該当します。

厚生労働省・平成22年国民健康・栄養調査結果の概要「高血圧有病者

「高血圧症有病者」の判定=『収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上、もしくは血圧を下げる薬を服用している者』という定義

(引用)厚生労働省「平成22年国民健康・栄養調査結果の概要」

70歳以上になると8割を超える男性が理論上高血圧症有病者となります。しかし同報告書によると「高血圧と診断されたことがある人の割合(30歳以上)」は大幅に下がり、、潜在的な高血圧症が相当数いるものと推定されます。

<数字でみる日本の高血圧> 

  • 患者数は、906万7,000人
  • 年間医療費は、1兆8,890億円
  • 年間死亡数は、6,932人

※平成23年度調査

国民の平均血圧が4mmHg下がると、脳卒中による死亡を1万人、心筋梗塞による死亡を5,000人減らせる

(引用)一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 http://www.seikatsusyukanbyo.com/statistics/disease/hypertension/

アメリカでは65歳~74歳の3分の2以上が高血圧の診断を受けているといいます。(メルクマニュアル医学百科家庭版「高血圧」)やはり早期の発見と治療が大切なことは言うまでもありません。

高血圧と認知症のカンケイは?

高血圧が認知機能に悪影響を与える原因について、既に様々な研究が進んできています。

オランダの研究チームは、高血圧によって、脳の中の「白質」と呼ばれる場所で血流低下が起こっていることをつきとめました。血流低下は白質を萎縮させ、それによって思考力も低下します。また、日本とアメリカ中西部で高血圧の高齢者を対象に行われた2つの研究では、認知機能の検査の成績が低い人ほど、脳の白質がより萎縮していたという一致した結果が報告されています。

これに対し、薬物治療を行うと高血圧が改善し、認知機能の成績も改善したという報告がみられます。追跡調査によれば、高血圧の薬物治療を受けた高齢者で認知障害が生じるリスクは、薬物治療を受けていない人の60%しかないことが複数の論文で報告されています。

また、前述の白質を調べた研究では、医師の指示通り高血圧の薬を服薬した人の白質の萎縮の進行速度は、服薬を守らなかった人の半分以下であったことが報告されています。

(引用)「脳の老化を防ぐ生活習慣 認知症予防と豊かに老いるヒント」(中央法規/ダグラス・パウエル、山中克夫訳)

また、nounowで紹介したことのある50年に渡る疫学研究で知られる「久山町研究」(「久山町研究とは?~認知症予防のデータになった健康意識の高い町」)でも、高血圧と認知症の関係について指摘されています。

脳血管性認知症は、主に脳梗塞と脳出血といった脳内血管の病気が原因で引き起こされるものですが、これらは高血圧による動脈硬化に起因します。脳血管性認知症は認知症全体の2割を占めており、高血圧は様々なリスクに加えて認知症リスクをも抱えることになるのです。

中年期の高血圧が脳血管性認知症のリスクが高い

特筆すべきは、この表のオレンジ色が「中年期」の人(50-64歳)を表していますが、この中年期の高血圧はさらに認知症のリスクが高いことが示されています。

(引用)
健康・医療戦略推進本部「わが国における高齢者認知症の実態と対策:」久山町研究 九州大学大学院医学研究院 環境医学分野 清原裕 補足資料3・老年期・中年期血圧レベル別にみた認知症の相対危険度 久山町男女668人,65-79歳,1988-2005年(老年期): 534人,50-64歳,1973-2005年(中年期),多変量調整

なんと、高血圧でない人と比較して、中年期に「ステージⅠ」(収縮期血圧160mmHg未満-140mmHg以上、拡張期血圧100mmHg未満-90mmHg以上)の人は6倍、「ステージⅡ」(収縮期血圧180mmHg未満-160mmHg以上、拡張期血圧110mmHg未満-100mmHg以上)の人は10倍もの認知症リスクがあることがわかります。この将来の脳血管性認知症のリスクを放置することは非常に危険なのです。

塩分量チェックの癖づけを

血圧といえばまずは減塩を意識すべきですが、外食では最近メニューに塩分量を表記するレストランが増えており、選択の基準になります。食品を購入する際は商品の成分表示欄を気にして見て選びましょう。その際には以下の点に要注意という指摘があります。

「『うす塩』『減塩』『塩分控えめ』という表記は、栄養表示基準で定められており、実際に塩分含有量は少なくなっています。ところが、『うす塩味』『塩味控えめ』などと表記されているものは、あくまで主観的な味覚についての表示なので、必ずしも塩分量が少ないとは限りません」
(引用)「認知症予防のための簡単レッスン20」(文藝春秋/伊藤隼也)

中年期の高血圧は認知症リスクを高めます。まずは減塩意識をもち、塩分量表記をチェックする癖から身につけましょう。

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