たばこは認知症リスクを上げるか?

takahiro

たばこは認知症リスクが高い?(イメージ)
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疫学研究では、タバコを吸うと肺がんのリスクが3~5倍に増える、喉頭がんや食道がん、胃がん、膀胱がんのリスクも増えるなどと報告されています。認知症にはどのように関係するのでしょうか?

喫煙者の認知機能は低下する

喫煙の認知症発症に対する影響については、これまでに報告された19の疫学研究をまとめてメタ分析した結果について、オーストラリア国立大学メンタルヘルスセンター教授のカーリン・アンスティ氏が2007年に報告しました。

平均74歳の総勢26,374名で、喫煙者は非喫煙者(決して吸わなかった人)と比べると、アルツハイマー病のリスクが1.79倍、脳血管性認知症のリスクが1.78倍に増加していました。また喫煙者のほうが、認知検査での得点が加齢に伴って有意に大きく低下しました。

影響がわかりにくい

喫煙の影響に関しては、疫学研究ごとに有害、逆に予防に役立つなど、はっきりとした結果がでていませんでした。その背景には、たばこのもたらす健康への影響が多岐に及ぶことがあるのでしょう。たばこのもたらす活性酸素は肺胞を傷つけ、肺胞壁の弾力性をなくして肺気腫を生み出し、肺がんやそれ以外のがんのリスクを増やし、血圧や動脈硬化にも影響を及ぼします。このため、認知症への直接的な影響がわかりにくくなるのかもしれません。

hawaii(イメージ)
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米国University of KentuckyのTyasらが、ハワイの日系米人で喫煙との関係を調査した2003年の疫学研究では、喫煙量が増えるほどアルツハイマー病のリスクが高まり、大脳皮質の老人斑も増えていました。ところが、ヘビースモーカーではこのようなリスクの増大がみられませんでした。これは、ヘビースモーカーが認知症発症前に肺がんなどで死亡したためと解説されています(hardy survivor effect)。

「喫煙は認知症によくない」が優勢

喫煙によって体内にニコチンが摂取されます。ニコチンそれ自体に関しては、コリン性作用を介して、パーキンソン病などの神経変性疾患に対して防御的効果を有するとの報告もあります。

様々な説がありますが、たばこは心臓や血管に対して明らかに有害であり、結局は認知症にもよくないという説が現状優勢なようで、多くの研究者や医師が認知症の促進因子として喫煙をあげています。

(出典)
Smoking as a risk factor for dementia and cognitive decline: a meta-analysis of prospective studies.
Mid-life smoking and late-life dementia: the Honolulu-Asia Aging Study.