若い頃勉強に励むと将来の認知症予防につながる

佐藤洋平

学歴が認知症リスクに影響する(イメージ)
出典元:pixabay.com

アルツハイマー病の発症に影響する7つの後天的要因の中で特に2つ(低学歴と喫煙)が大きな影響を及ぼすとする論文を紹介します。若い頃に勉強することは将来認知症になるリスクを軽減するかもしれません。

学歴は認知症発症に影響を及ぼすか?

普段仕事でおじいさんおばあさんを見ていると、全員が全員というわけではないのですが女学校出のおばあさんは比較的しっかりしている印象をうけます。

認知症に影響を及ぼす要因は様々ですが、果たして学歴は認知症の発症に何らかの影響をおよぼすのでしょうか?

今日取り上げる論文はアルツハイマー病の予防効果について過去に行われた研究を元に詳しく調べたものです。

低学歴と喫煙が大きな影響

アルツハイマー病の発症に影響する後天的要因として7つ挙げられており(糖尿病、中年期の高血圧、中年期の肥満、喫煙、抑鬱、不十分な認知的活動または低学歴、不十分な身体的活動)この内、喫煙と低学歴が際立って大きく影響することが述べられています。

以下はあくまで試算ですが、

  • もし喫煙者が10-25%減ればアメリカ合衆国では5万人から13万人アルツハイマー病の発症を予防できる
  • もし低学歴者を25%減らすことができれば9万人のアルツハイマー病を予防できる

とのことです。

効果的に予算を使うには、禁煙の促しと教育補助にお金をかけるのがよいとしています。

学歴がアルツハイマー病の発症の予防に影響する理由は、若い頃に脳をしっかり使うことで脳内の神経配線が頑強になり(認知的予備力がつき)、脳が多少萎縮しても症状が出にくいからだといわれます。

このあたりが女学校出身のおばあさんが比較的しっかりしていることにつながるのかなと思いました。

【論文要旨】
現在世界で3390万人がアルツハイマー病に罹患しており、有病率は今後40年で3倍になると見込まれている。本研究の目的はアルツハイマー病を引き起こしうる潜在的な7つの修正可能な要素について検討することである。その7つとは糖尿病、中年期の高血圧、中年期の肥満、喫煙、抑鬱、不十分な認知的活動または低学歴、そして不十分な身体的活動である。これに加えて各要素がアルツハイマー病の発症に与える影響力と、これらの要素に介入することでどれほどアルツハイマー病の発症を抑えることができるかについて全世界およびアメリカ合衆国の予防可能人数について計算を行った。結果、全世界およびアメリカ合衆国のおよそ半数のアルツハイマー病患者がこれら7つの要素によって影響を受けており、これら7つの要素を10%もしくは25%低下させることで全世界で110万人から300万人、アメリカ合衆国では18万4000人から49万2000人アルツハイマー病を予防できることが考えられた。

Lancet Neurol. Author manuscript; available in PMC 2013 May 8.
Published in final edited form as:
Lancet Neurol. 2011 Sep; 10(9): 819–828.
Published online 2011 Jul 19. doi: 10.1016/S1474-4422(11)70072-2
PMCID: PMC3647614
NIHMSID: NIHMS353062
The Projected Impact of Risk Factor Reduction on Alzheimer’s Disease Prevalence
Deborah E. Barnes, PhD, MPH
Department of Psychiatry, University of California, San Francisco, San Francisco, CA, USA
San Francisco VA Medical Center, San Francisco, CA, USA
Kristine Yaffe, MD, Prof
Department of Psychiatry, University of California, San Francisco, San Francisco, CA, USA
Deparatment of Neurology, University of California, San Francisco, San Francisco, CA, USA
Department of Epidemiology & Biostatistics, University of California, San Francisco, San Francisco, CA, USA
San Francisco VA Medical Center, San Francisco, CA, USA
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「脳科学 リハビリテーション」より