非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)と認知症予防

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鎮痛剤(イメージ)
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非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)が認知症予防にも有効とする研究結果を紹介します。ただし胃腸障害など副作用もある薬であり、あくまで医師の処方にもとづき服用すべきです。(監修:医師 奥 真也)

非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)とは?

腰が痛い、頭が痛い、高熱が出た、そんなときに医師から処方される薬がNSAIDsです。炎症を抑え、痛みを和らげ、熱を下げる薬で医師もよく処方する薬です。

このNSAIDsは、アミロイドベータの産生減少とアミロイドベータ異常蓄積に続く脳の炎症を抑える作用により、アルツハイマー病の予防にも有効と考えられています。

NSAIDsが作用する切断酵素とは

アミロイドベータには2種類の切断酵素が関わり、それぞれベータセクレターゼとガンマセクレターゼと呼ばれています。ベータセクレターゼは生真面目で、いつも同じ場所をせっせと切りますが、気まぐれなガンマセクレターゼは切断場所がゆらぎます。

少し短めに切ってアルツハイマーに影響の少ないアミロイドベータを作ったり、少し長めに切ってアルツハイマーの原因として蓄積されやすい悪玉のアミロイドベータを作ったりします。

NSAIDsはこのガンマセクレターゼの切断部位に作用し、悪玉のアミロイドベータ産生を低く抑えます。その結果、沈着のきっかけとなる悪玉のアミロイドベータが減って、アルツハイマー病を予防すると考えられています。

NSAIDsの研究結果

疫学研究では、カナダのブリティッシュコロンビア大のMcGeer氏が2007年に、ハンセン病の患者がアルツハイマー病にかかりにくいという報告をしました。ハンセン病の患者は、炎症を抑える薬を飲み続けているからだというわけです。

その後、関節リウマチで非ステロイド系消炎鎮痛剤を長期間服用するとアルツハイマー病の予防効果があることが示されました。その後の多数の疫学研究でも、NSAIDs(多くの方はイブプロフェン、医薬品のブルフェン)を2年以上内服している高齢では、アルツハイマー病のリスクが半減するという調査結果が示されています。

マウスを用いた動物実験では、イブプロフェンやインドメタシン(医薬品のインダシン)の投与で、アルツハイマー病の原因とされるアミロイドベータ沈着が減少しました。

上記の結果からNSAIDsの効果が期待できますが、胃腸障害などの副作用もある薬剤であり、勝手な長期乱用は決してしてはなりません。

参考論文:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12897211

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16697488