WHOの分析レポートより「認知症研究は予防が最重要」

nounow編集部

スイスのジュネーブにあるWHO本部(イメージ)
出典元:pixabay.com

WHOの『World Alzheimer Report 2015』において認知症医療費が2018年に1兆ドルを突破すると試算されています。また研究者による認知症研究の優先順位づけでは「予防が最重要」との結果になったとのことです。世界的脅威である認知症の予防に早期から取り組む必要性が再確認されたと言えるでしょう。

WHOによる認知症研究課題の優先順位づけ

世界保健機関(WHO)が率いる国際諮問グループは、『World Alzheimer Report 2015』において、現在4,600万人である世界の認知症患者数が、2050年には1億3,150万人にまで膨れ上がること、ならびに2015年における認知症治療費の世界総額の見積もりは約8,180億米ドルであるが、2018年には1兆米ドルに、2030年には2兆米ドルに達すると予想しています。

またWHOは、認知症研究の優先投資が世界的に推進されるように、研究課題の優先順位付けを行っています。

総勢200名を超える研究者とステークホルダーから研究の対象となる問題が提出され、それらは59の研究分野に統合され、39 カ国からの162名の研究者とステークホルダーによって5つの基準(成功の可能性、負担軽減の効果、躍進の可能性、転換の可能性、公平さ)に関して評価されました。

優先順付けよって特定された包括的な研究目標は以下の通りです。

認知症予防、認知症発症リスクの軽減

診断、バイオマーカーの開発、疾患のモニタリング

薬物/非薬物療法による治験

認知症患者とその介護者へのケアの提供とその質の改善

生理機能、通常の老化、疾患の見極め

一般市民の意識と理解の改善

先月トロントで開催されたAAIC2016における会議において、ニューヨーク市コロンビア大学メディカルセンターのHiral Shah博士ならびに、WHO所属の上席著者であるTarun Dua博士曰く

「最も多くの研究分野の課題であったのは認知症発症リスクの軽減で、優先順位のスコアも全体的に高かった。」

と述べました。

また、Shah博士は会議声明で次のようにも語っています。

「私達が望んでいるのは、この集中的で系統的、かつ国際的なプロセスを通じて、政治家、資金提供者、研究者に情報を提供し、認知症による負担を世界的に軽減しなければならないという気持ちにさせることです。」

アルツハイマー病学会の公共政策部門担当主任であるRobert J. Egge氏曰く

「2011年に国家アルツハイマープロジェクト法(National Alzheimer’s Project Act: NAPA)が制定されて以来、研究資金は2倍以上の10億ドル近くにまで膨れ上がっています。こんな現象は、ここ1世紀のうちに、既存の他の疾患では見られなかったことです。」

「連邦議会はこの夏、研究資金を大幅にアップするための準備を進めています。科学者達によると、世界総額で年間20億ドルの資金がなければ、十分な進歩は望めないそうです。」

とのことです。

認知症予防は世界的課題

研究資金がかつてないスピードで膨れ上がる認知症。その医療費世界総額は2018年に1兆ドルを突破するとのことです。

多くの研究者がやはり認知症予防、認知症発症リスクの軽減こそ最重要課題と認識していることが改めて明らかになりました。

創薬もMCI(軽度認知障害)や、さらにその一歩手前のプレクリニカルAD(MCIの症状はないが脳画像診断に基づいてその兆候が見られる)の段階で処方する薬の研究が進みつつあります。

0次予防ともいわれますがまだなんら症状がない段階から予防していくことが必要な認知症。40代後半から予防を意識していく必要があります。

出典:World Alzheimer Report 2015: The Global Impact of Dementia

Medscape 「WHO Outlines Global Dementia Research Priorities」