認知症は、40代から予防する時代へ(DIAN研究から示されたこと)

nounow編集部

慢性的な寝不足と生活習慣の乱れる40代(イメージ)

国際的なアルツハイマー病の研究「DIAN(ダイアン)研究」において、アルツハイマー病を引き起こす原因物質と考えられるアミロイドβは、発症25年前から脳内に蓄積しはじめる可能性が指摘されています。

認知症は20年以上の歳月をかけて進行する

「認知症って高齢者になってからの問題で、私には関係ないでしょ?」

そう思っている人は多いのではないでしょうか?

しかし、近年の脳科学の研究によって、アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)は20年以上の歳月をかけて進行していくことが明らかになってきました。

アルツハイマー病と診断された時には、この病の最終段階にきているといっても過言ではありません。

長い歳月を経て脳は萎縮し、神経細胞は徐々に壊れていくと考えられているのです。

この研究は、2014年のNHKスペシャルでも取り上げられた「DIAN(ダイアン)研究(http://www.dian-info.org/)」によって広く知られるようになりました。

DIAN研究とは?

DIAN(ダイアン)研究とは、アメリカ・イギリス・オーストラリア・ドイツの大学や医学研究機関が集まり進められている、アルツハイマー病に関しての世界最先端の研究です。

300人以上ともいわれる「家族性アルツハイマー病の原因遺伝子を持つ可能性が高い家族」が協力して、発症する前からの脳画像、血液、遺伝子など徹底的な検査と追跡調査がおこなわれ、アルツハイマー病発症前後で、脳がどのように変化するかを解明するための研究を行っています。

DIAN研究がすすむワシントン大学(イメージ)
Photo by pixabay

ちなみに、家族性アルツハイマー病は、親から高い確率で引継いでキャリアとなり(確率は50%とも言われる)、親の発症年齢とほぼ同年齢で発症します。実にその発症のほとんどが40~50歳代の若年性アルツハイマーとなることがわかっており、今回の研究対象に選ばれたということです。

この研究結果によると、キャリアをもつ人の脳内ではアルツハイマー病の発症の25年前頃から原因物質とされる「アミロイドベータ」が脳内に溜まり始めており、さらに発症の15年ほど前からはもう一つの原因物質であるタウたんぱくが脳脊髄液内で増え始め、それと同時に海馬が縮小していくことが明らかになりました。

アルツハイマー病の発症の25年前から脳内には変化が起こっているのです。

日本でもDIAN研究がスタート

この最先端の国際研究DIANの日本版をはじめようという動きが新聞報道されています。

予防の研究続々/大阪市立大などのチームは最先端の国際研究DIAN(ダイアン)の日本版を年内に始める。将来、ほぼ確実に「家族性アルツハイマー病」になる特定の遺伝子を持つ未発症者約30人に協力を要請。アミロイドβ(ベータ)などの原因物質の状態を数年かけて観察して、発症のメカニズムや薬の効果を調べる。
(引用)日本経済新聞 2016年1月13日朝刊1面「医出づる国 国民病に負けるな~認知症でも長く働ける/環境整備 急ピッチ」

40・50代から脳内で変化ははじまっている


“予防の概念が大きく変わる”

仮に75歳で発症したとすれば、既に50歳の時から脳内には変化が起こっていることになります。アルツハイマー病は高齢者になってからの問題ではなく、実は中年期の過ごし方に大きな影響があると考えられています。

いま、日本では認知症にかかる社会的コストは膨大となっています。昨年公表された厚生労働省の研究班の推計では、認知症にかかる医療・介護費と家族介護の負担も含めた「社会的費用」が、年間14.5兆円に上ることが明らかにされています。

国民全体の医療費が43兆円(2014年度予算)ですから、その3分の1にあたる規模となるわけです。

国立長寿医療研究センターの鳥羽研二理事長によると、“発症を遅らせる”ことが日本の将来を変えそうです。

(認知症発症を)5年間遅らせられれば、発症せずに亡くなる方が増え、認知症患者の数自体は半分以下になる

(引用)日経ビジネスONLINE 2015年12月22日『発症を5年遅らせれば認知症患者数は半分以下に~国立長寿医療研究センター鳥羽研二理事長に聞く』http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/112400015/120300002/

社会的コスト面のみならず、一人でも多くの人ができるだけ長く認知機能を維持し自分らしく有意義に過ごせるということこそ最大の効果ですね。早い段階からの認知症予防が、今の日本には重要な施策といえます。

40代、50代のみなさん、私たち自身のため、子どもたちへ負担を遺さないためにも、生活習慣の見直しに取り組みましょう。

(出典)アルツハイマー病を治せ!“認知症800万人”時代の処方箋 NHKスペシャル取材班著)
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