実年齢より歳をとっていると感じる人は認知症になりやすい

大塚真紀

実年齢より年をとっている(イメージ)
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実年齢より若いか老いているか、自分自身がどう感じているかによって認知症リスクに差がでるとしたら?フランスの研究チームが発表した論文をご紹介します。

主観年齢とは

主観年齢とは、実年齢ではなく、自分で感じている年齢のことです。例えば実年齢が60歳でも、心も体も健康で自分は50歳くらいに感じている方もいます。一方で、実年齢が50歳でも体の倦怠感や心のストレスなどにより、実際には65歳くらいに感じている方もいるのではないでしょうか。

今まで、主観年齢を研究対象にした報告はすでにいくつか発表されています。例えば、主観年齢が高い人はうつ病の発症率が高く、身体活動度が低いことが明らかになっています。糖尿病などの身体疾患との関連も指摘されています。また、ストレスを強く感じている人は主観年齢が高くなることもわかっています。

「年老いている」と感じることは認知症発症のリスクになる

フランスの研究チームは、65歳以上の高齢者を対象に約4年間にわたって臨床研究を行い、実年齢より高齢だと感じている人は認知症や認知機能障害のリスクが高いことを2016年7月に「Journals of Gerontology」誌に発表しました。

研究の対象となったのは、65歳以上の高齢者5748名で、主観年齢や実年齢、運動量、抑うつ症状、認知機能などについて調査しました。認知機能に関しては、2-4年間にわたり、認知機能障害の有無を判定するテストを行いました。

結果としては、研究開始時に主観年齢が実年齢より高い人は、認知機能障害または認知症を発症するリスクが高いことが明らかになりました。認知機能障害は、認知症と診断はされないものの、軽度の記憶障害などの症状があることをさします。
運動不足や抑うつ症状は、部分的に認知症発症に関与していることがわかりました。

今までの研究で、高血圧や糖尿病、肥満、運動不足、ストレスなどは認知症のリスクといわれてきました。しかし、今回の研究では自分が感じている年齢が実年齢より高いか低いかという簡単な質問によって認知症発症のリスクを予測できることが明らかになったという点で画期的といえます。

主観年齢が高いことを確認した時点で、認知症を予防するような対策をとれば、将来認知症を発症するリスクを軽減できる可能性があると研究チームは結論付けています。

しかし、今回の研究では基本的に1か国の高齢者を対象とした研究であること、研究期間が2-4年と短いことなどが限界と考えられます。

今後、より多くの人を対象とした研究が各国で行われ、同じような研究結果が得られることが期待されます。

若々しくいるようにするためには

今回の研究では、実年齢より年老いていると感じている人は将来認知症を発症するリスクが高いことが明らかになりました。では、自分で年老いていると感じないようにする、つまり若々しくいるためにはどのようにすればいいのでしょうか。

医学的には、老化を促進させる悪い生活習慣がわかっています。具体的には、喫煙、ストレス、アルコール多飲、運動不足、バランスの悪い偏った食生活などです。これらの老化を促進させる悪い生活習慣を改善すれば、実年齢よりも若々しくいられる可能性があります。

また、悪い生活習慣は認知症のリスクになるものばかりなので、若々しくいられるように日々の食事や生活を是正すれば同時に認知症予防にもなるので今日から始めてみるとよいかもしれません。

<参考論文・参考資料>
Subjective Age and Changes in Memory in Older Adults.
Stephan Y, Sutin AR, Caudroit J, Terracciano A.
(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25748213)