81%の確率で言語症状からアルツハイマー病を判定可能!?

大澤法子

言語障害からアルツハイマー病を判定できる(イメージ)
出典元:pixabay.com

アルツハイマー病については、その原因が不明とされているために、検査方法が十分には確立されていないのが現状です。ここではアルツハイマー病患者に見られる言語症状から発症しているかどうかを判定する方法の有効性について言及したカナダ・トロント大学の論文を紹介します。

167名のアルツハイマー病患者の言語データを検証

アルツハイマー病患者に見られる症状のひとつに言語症状があります。そこで、トロント大学の研究者らは、言語症状の有無がアルツハイマー病かどうかを見極めるうえでの手がかりとなり得ることを証明すべく研究を行いました。

言語データについては、認知症患者の筆記および音声サンプル(絵を提示し、描かれているものを声に出してもらうというタスクを通じて作成)を収集した言語コーパス「Dementia Bank」から収集。NINCDS/ADRDAの臨床診断基準に則り「possible AD」または「probable AD」に該当するアルツハイマー病患者167名および、いずれのアルツハイマー病も罹患していない対照群97名を研究対象とし、それぞれ200体を超える音声サンプルを比較しました。

アルツハイマー病患者と健康な人を区別するために、筆記・音声サンプルからそれぞれ言語変数、音響変数を導き出し、さらに斜プロマックス回転と呼ばれる統計学的手法を用いて、それぞれのアルツハイマー病患者における言語機能の程度の違いを検証しました。

言語症状からアルツハイマー病かどうかが判定できる

検証結果は以下の通りです。

患者の目の前に絵を提示し、描かれているものを声に出してもらうだけで、意味・統語上の障害、聴覚異常および情報量の問題が明確に表れたことから、アルツハイマー病かどうかの判定材料に十分なり得るという結論に至りました。

さらに注目すべきはその判定精度の高さであり、81%という高い確率でアルツハイマー病かどうかを判定することが可能であるという見解を示しています。

アルツハイマー病は早期発見がカギを握る病気であり、発見が早ければ早いほど進行を緩やかにする介入が効果的とされます。機械学習への応用を通じて、アルツハイマー病の疑いのある人に対する評価方法が確立されれば、アルツハイマー病を比較的早い段階で発見することが可能となりそうです。

参考論文
Journal of Alzheimer’s Disease.2016 vol.49 (2): 407-422
Linguistic Features Identify Alzheimer’s Disease in Narrative Speech
http://content.iospress.com/articles/journal-of-alzheimers-disease/jad150520