ドロドロ血液は脳に悪い?

佐藤洋平

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よく血液ドロドロ・サラサラなどといいますが、血液ドロドロと認知症発症リスクについての論文をご紹介します。

血液ドロドロとは?

血液ドロドロは体に悪いと言われていますが、そもそもこの血液ドロドロというのはどのような状態を指しているのでしょうか。

血液ドロドロとは一般的に血液が流れにくい状態のことをいい、赤血球がかたくなること、赤血球が濃いこと(ヘモグロビンの比率が高いこと)、血漿成分のあぶらが多いこと(血液中にコレステロールや中性脂肪が多い)などで定義されます。

ではこの血液ドロドロの状態は脳にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

今回取り上げる論文は血液ドロドロ(血液の粘性)と認知症発症の関係について調べたものです。

血液粘性と脳血管型認知症の関係

この研究はイギリスはサウスウェールズ州に住む65歳から84歳の865名の男性を17年間追跡調査を行って調べたものです。

この865名は調査開始時にはすでに血液の粘性と炎症値に問題があるヒト達ばかりだったのですが、この血液粘性と炎症値、どちらが認知症に影響しているか調べたところ、血液粘性が高いほど脳血管型認知症になりやすいことが報告されています。

この血液ドロドロがどこからくるかというと、血液の主要成分である赤血球の状態によるところが多く、この赤血球がプヨンプヨンしていて変形しやすければ狭くて小さい血管も通りやすいのですが、これが固くなると詰まりやすくなり、またこの赤血球が過度に凝集しやすくなるとこれまた固まって詰まりやすくなるようです。

こういったことから脳の中に小さな脳梗塞を数多く作って認知症になってしまうことがあるのです。

赤血球の柔らかさや凝集性は糖尿病で血糖値が高い状態が続くと大きく悪化するということで、糖尿病の治療・予防が認知症予防に大切なのはこの辺にあるのかなと思いました。

【論文要旨】
目的)血液の粘性と体内の炎症値は認知症に影響をおよぼすことが知られている。本研究ではこの二つの経路が認知症に及ぼす影響について具体的に明らかにする。

方法と結果)本研究は血液の粘性と炎症値に問題がある65歳から84歳の865名の男性を17年間追跡調査を行って、その後の認知症発症との関連性について調査を行った。評価にあたっては15の血液粘性指標と6つの炎症指標を用いた。
要因分析を行ったところ血液粘性指標の内3つの指標に有意な関係性が認められた。炎症値指標は脳血管性認知症とは関連性を持たなかった。

結論)血液粘性と脳血管型の認知症発症の間には有意な関連性が見られたが、この発症機序は血餅の結成過程によるもので、脳血管認知症発症における微小梗塞モデルと同一の結果となった。

http://atvb.ahajournals.org/content/30/3/599.full
Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2010 Mar;30(3):599-604. doi: 10.1161/ATVBAHA.109.197368. Epub 2009 Dec 3.
Is sticky blood bad for the brain?: Hemostatic and inflammatory systems and dementia in the Caerphilly Prospective Study.
Gallacher J1, Bayer A, Lowe G, Fish M, Pickering J, Pedro S, Dunstan F, White J, Yarnell J, Ben-Shlomo Y.

出典:脳科学リハビリテーション