米イーライリリー社、初期アルツハイマー病治療薬の製品化を断念

nounow編集部

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出典元:pixabay.com

製薬大手のイーライ・リリー社は23日、初期のアルツハイマー型認知症新薬「ソラネズマブ」の臨床試験で有効な結果が得られなかったと発表し、製品化を断念しました。期待の大きかったソラネズマブの失敗は業界にとって大きな打撃となりました。

ソラネズマブ、有効な結果を得られず

残念なニュースです。

米イーライ・リリー、アルツハイマー新薬製品化断念

米製薬大手のイーライ・リリーは23日、初期のアルツハイマー型認知症向け新薬「ソラネズマブ」の臨床試験で有効な結果が得られなかったと発表した。第3段階の臨床試験で認知能力の低下に歯止めをかけることを証明できず、規制当局への申請を見送ると決め、製品化を断念した。同社は製薬業界で認知症治療薬の開発をリードし、患者からの期待も高かった。
(引用:日本経済新聞 2016年11月24日)

いわゆるA4研究に大きな打撃となりました。

A4研究とは、Anti-Amyloid Treatment in Asymptomatic Alzheimer’s Study(アルツハイマー病の症状がない人へのアミロイド治療の研究)のことで、アルツハイマー病の症状がないがアルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβの蓄積が見られるごく初期の人向けに、病気の進行を抑える薬の効果を検証する研究のことをいいます。

ソラネズマブは2012年にアルツハイマー病の進行を抑える薬としての治験は失敗したものの、ごく初期の人に対しては、病気の進行を抑える効果がみられたことから、A4研究で検証が進んでいましたが、残念ながら効果は見られなかったということです。

他の治療薬は?

有力であったソラネズマブが開発中止となり、同じくイーライリリー社の「AZD3293」などの他の薬に期待がかかります。

認知症治療薬は、本当に開発されるのか?~臨床試験、最終段階へ

4月8日、イーライリリー・アンド・カンパニー社とアストラゼネカ社は、共同開発している経口アルツハイマー型認知症薬(治療薬候補)の臨床試験が最終段階の第3フェーズに入ったことを発表しました。

この治療薬候補は AZD3293と呼ばれ、アルツハイマー型認知症発症の原因物質とされるアミロイドベータに関連する酵素(BACE)を阻害することで、アミロイドベータの形成を抑制することが期待されています。実際のところ、 AZD3293は第1フェーズの臨床試験において、アルツハイマー病の患者および健康なボランティアの被験者の脳内アミロイドベータ値を低下させることが示されているのです。

他にもnounowで取り上げたバイオジェン社のアデュカヌマブも期待されています。

速報!認知症の免疫療法でアミロイドベータ抑制に成功〜初の認知症根治薬になるか

今回研究チームが作ったアデュカヌマブを、60代から80代の初期アルツハイマー病患者165人を2つのグループにわけ、一方に毎月1回、1年間静脈注射した(一方には偽薬を処方)ところ、患者の脳内アミロイドベータが減少、ほとんどのケースで進行を遅らせることができ、ほぼ健康な人と同じレベルまで改善した人もいたとしています。

研究チームは今後さらに多くの患者を対象にした臨床試験を行うとのことですが、予防薬や治療薬の開発につながる可能性があり非常に注目されます。

またこれも以前nounowで取り上げましたがips細胞を使った創薬などがこれから本格化していくようで、期待がもたれるところです。

iPS細胞を使っての認知症薬の開発研究がスタート

新聞報道では、一般的に新薬開発には「約10億ドルの投資」と「平均15年程度の時間」が必要とされるものの、このiPS細胞によって世界が待ち望む認知症の進行を食い止める新薬の開発は、時間を短縮し費用も節約できるのではないかと締めくくっています。

イーライリリー社のデービッド・リックス次期CEOは、同社が幾つかのアルツハイマー病治療薬を開発中であり、引き続きアルツハイマー病の研究を堅持する方針とのことですし、第3相試験に進んでいるアデュカヌマブの米バイオジェンと米メルク、スイスのロシュ・ホールディングはいずれも治験に対し引き続き自信があると述べているとのことです。(Don’t Give Up Hope Yet After Latest Alzheimer’s Drug Setback 出典:Bloomberg)

まさにDon’t give up ですね。