中年女性の血圧と認知症

佐藤洋平

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出典元:pixabay.com

スウェーデンに住む中年女性を平均37年間追いかけて、中年期の血圧とその後の変化が認知症の発症にどのように影響を与えるかについて調べた論文をご紹介します。

女性と男性というのは同じ人間ではありますが、ホルモン分泌の関係から老化の仕方というのは多少違いが出てくるようです。

特にこれは血圧の変化に顕著で更年期前からその後にかけて血圧の急激な上昇が見られるケースが多いようですが、これは認知症の発症と何らかの関係があるのでしょうか。

今回取り上げる論文はスウェーデンに住む中年女性を平均37年間追いかけて、中年期の血圧とその後の変化が認知症の発症にどのように影響を与えるかについて調べたものです。

認知症の発症機序は複雑でありはっきりとした結果というところまでではなかったようですが、それでも中年期(40代)に血圧の高い女性というのは一般に認知症になるリスクが高まり、さらに大事なことには中年期に血圧がそれほど高くはなくても、中年期以後に毎年血圧が上がっていくようなケースではやはり認知症発症のリスクが高くなることが示されています。

それゆえ女性の場合は、これくらいの血圧だったらまだ大丈夫という判断ではなく、若い頃と比べて大分上がった、もしくは最近上がり気味ということも気をつけなければいけないのかなと思いました。

論文要旨

中高年期に血圧が高いほど認知症リスクが高くなることが知られている。

血圧と認知症との関係をさらに理解するためには、中年から後期までの血圧の変化を調べる必要がある。 1968年から1969年までの包括的な医学的精神神経学的検査を受けた中年女性の代表的なサンプル(N = 1462)において、線形混合モデルを用いて血圧の軌跡を調べた。

認知症は確立された基準に従って診断を行った。

抗高血圧薬で治療されていない患者のうち、1968年から1992年までのベースライン時の収縮期血圧は高いもので血圧の経時的上昇は認められなかったものは、認知症およびアルツハイマー病の発症リスクが増大していた。

抗高血圧治療歴のある患者は、治療を受けていない患者よりも収縮期血圧が高かった。

このグループの中で認知症およびアルツハイマー病を発症した人々は、ベースライン時の収縮期血圧が低く、収縮期血圧が1968年から1992年にかけて急激に上昇を示していた。

抗高血圧治療にかかわらず、認知症を発症した人では、研究の後半の収縮期血圧の急激な低下が観察された。

後者の関連性は、体格指数を調整すると減弱または消失した。

血圧と認知症との関連は複雑であり、抗高血圧治療の影響を受ける。この知見は、中年期の血圧上昇を検出し、治療中の血圧をコントロールすることの重要性を強調している。血圧の軌道が危険因子であるか、認知症の臨床経過の一部であるかは、解明される必要がある。

http://hyper.ahajournals.org/content/59/4/796.long
Hypertension. 2012 Apr;59(4):796-801. doi: 10.1161/HYPERTENSIONAHA.111.182204. Epub 2012 Feb 13.
Blood pressure trajectories from midlife to late life in relation to dementia in women followed for 37 years.
Joas E1, Bäckman K, Gustafson D, Ostling S, Waern M, Guo X, Skoog I.