アテローム性動脈硬化症と認知症

佐藤洋平

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出典元:pixabay.com

下肢の血管がどの程度固くなり詰まりやすくなっているかを図るABI(足関節上腕血圧比)と認知機能の変化に関する論文をご紹介します。

ABI(足関節上腕血圧比)と認知機能

いろんな文献を読んでいると健康管理というのは血管管理なのかなと思うことがあるのですが、高血圧や糖尿病などでは血管が固くなり詰まりやすくなることがあるそうです。

アテローム性動脈硬化症というのは血管内にコレステロールの残骸が張り付いて血管が狭くなってしまうような病態なのですが、この状態を簡便に知る方法としてABI(ankle brachial index:足関節上腕血圧比)というものがあります。

これは通常上腕で取る血圧を足首でも取って、
ABI = 足首の最高血圧/上腕の最高血圧  
という式でその比を出したものになり、通常この値は1.0以上、1.2程度を示し、値が少なくなるほど下肢の動脈が詰まっている指標になるそうです。

今回取り上げる論文は、このABIと認知機能の変化について調べたものです。

研究ではイギリスはエジンバラに住む55歳から74歳の高齢男女およそ1600人を対象に行い、ABIと認知機能の経時的な変化を追っています。

結論を述べるとこのABIははっきりとはいえないものの、やはり経時的な認知機能の低下にも関連している可能性があること、また認知機能の低下の要因として不安感やうつ状態など精神的なものがあり、健康状態が悪い(ABIの値が悪い)と、不安感やうつ状態を押し進め、結果として認知機能の低下にもつながりうるのではないだろうかということが述べられています。

確かにうつ状態で頭キレキレというのもイメージし難く、良好な認知機能を保つためにはココロとカラダのメンテナンスが大事なのかなと思いました。

論文要旨

全身性アテローム性動脈硬化症の指標となる足首上腕指数(ABI)は高齢者の認知障害に関連している。

我々は、ABIが年齢に関連して認知機能の低下と特異的に関連するかどうかを調べた。

研究では55〜74歳のABIを研究参加時に測定を行い、続いて参加時から5年後と12年後に再度測定を行った。

またこの参加者の内717人を対象に、研究の参加開始後、5年後と10年後に認知機能の測定を行った。

結果、ABIは認知機能のレベルと関連しており、これは病前の機能や不安とうつ病(標準化係数0.07)による影響で調整しても同様であったが、不安とうつ病によってその程度は減弱する傾向を示した。

ABIは経時的な認知機能の変化に関連していなかった。結論として、長時間にわたり、低ABIは高齢者の認知機能の低下と関連している可能性が示された。

少なくとも部分的には、不健康状態によって不安とうつが生じるからであると思われる。

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Vasc Med. 2010 Apr;15(2):91-7. doi: 10.1177/1358863X09356321. Epub 2010 Feb 10.
Ankle-brachial index predicts level of, but not change in, cognitive function: the Edinburgh Artery Study at the 15-year follow-up.
Johnson W1, Price JF, Rafnsson SB, Deary IJ, Fowkes FG.
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コンテンツ提供:脳科学リハビリテーション