サッカーのヘディングが認知症発症確率を上げる?

nounow編集部

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出典元:pixabay.com

米国で10歳以下のヘディングが禁止されたことが話題になりましたが、15日にロンドン大学とカーディフ大学の研究チームが、「ヘディングは認知症を高確率で引き起こす」と発表しました。

サッカー選手は認知症になりやすい?

ロンドン大学とカーディフ大学の研究チームが、「サッカーのヘディングによる脳へのダメージが、その後の認知症発症確率を上げる」と発表し、『BBC』など複数の英国メディアが伝えました。

今回の研究は、平均して26年間に渡ってサッカーをしていた14人(そのうち13人は元サッカー選手)を対象に行なわれたもので、60代前半で13人が認知症を発症し、そのうち12人が死亡しました。また、14人のうち6人に記憶障害や認知症の原因になる慢性外傷性脳症(CTE)の兆候があったことも発見されたとのことです。

ロンドン大学のヒュー・モリス教授は、「いずれの選手たちもヘディングなど頭部への衝撃を人生の早い段階から何度も受けてきたことが、認知症などを引き起こしたことと関連している。ただしサッカー選手がCTEを引き起こす全ての原因とリスクについて把握したわけではなく、今後も研究を進めたい。」とBBCに対してコメントしています。

またイングランドサッカー協会が、脳震盪を発症した際のガイドラインを設けたこと、プロサッカー選手協会が研究プロジェクトを進める資金を提供することをそれぞれ発表しています。

この研究だけでは調査対象人数が少ないことなどから「サッカー選手=認知症になりやすい」と結論づけられないにしても、ヘディングの悪影響に関しては他の研究もあります。

引用:サッカーダイジェストWEB
「ヘディングは認知症を高確率で引き起こす」英国の大学研究チームが発表!

昨年発表されたヘディングによる記憶への悪影響

昨年10月にはヘディングのし過ぎが脳機能に悪影響を及ぼし、24時間以内の記憶に障害をもたらすことが研究によって明らかにされたと、同じく『BBC』が伝えていました。

学会誌学会誌『EBioMedecine』に発表された、イギリスのスターリング大学で行われた研究成果によると、ヘディングを20回した後には記憶テストの結果が41パーセントから67パーセント低下していたとのことで、ヘディングによる、臨床的対応を要する脳震盪など以外の脳への悪影響が初めて確認されました。

認知神経科学者のマグダレナ・レッツワート博士は

アマチュアやプロのヘディング練習において、脳の記憶機能が著しく阻害されることが判明した。今回確認された影響は短期的なものだが、サッカーのヘディングを繰り返すことで長期的に脳への障害が起こりうると考えている。世界中でこのスポーツに関わる人々が、(ヘディングが与える)脳への長期的影響を認識していくことが大事だ

と語り、短期的なヘディングの悪影響だけでなく、長期的悪影響についても警鐘を鳴らしています。

引用:サッカーキング 
ヘディングが記憶障害を起こす? 脳への悪影響が英の大学研究で判明

アメフトやプロレスなどの脳に関する訴訟

以前、脳疾患を抱えるアメリカンフットボールの元選手らが、ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)に補償を求めていた訴訟で、NFL側が推定10億ドルを支払うことになった「アメフト脳震盪訴訟」が話題になりました。

米国の人気週刊誌「スポーツイラストレイテッド」によると、選手は年齢や経験年数によって、平均19万ドルを受け取ることになり、CTEと診断された選手の家族は、最大で400万ドル、パーキンソン病やアルツハイマー病を患った選手は、最大で350万ドルが補償されるとのことです。

また、プロレスでも昨年元レスラーらが所属団体WWEに集団訴訟を起こしました。

元レスラーらは訴状で、WWEが試合に伴う脳障害のリスクを隠し、レスラーの健康や安全に十分に配慮しなかったと指摘、
頭痛、めまい、記憶障害、精神的混乱や抑うつ状態も経験したと主張していました。

米国で10歳以下のヘディングが禁止された背景には、サッカー選手の保護者グループが2014年に、米サッカー協会などを相手に訴訟を起こしたことがあります。合意内容にヘディングの禁止や脳震盪について啓蒙することなどが盛り込まれていたようです。

米国では訴訟を契機に頭部への激しいコンタクトがあるスポーツのあり方が変わりつつあります。今後さらに各競技の頭部へのコンタクトに関する長期・短期の脳への影響に関する研究が進み、安全基準が確立されることが望まれます。