認知症の超早期発見、もうすぐ?

nounow編集部

待望の認知症予防のための早期診断手法の開発が間近(イメージ)

超高齢社会日本の認知症対策は世界が注目しています。認知症の原因物質の蓄積量を簡単に検査するなど超早期診断について様々な研究が行われており、期待がもてます。健康診断で認知症リスク検査が導入される日も近い?

認知症対策のコストは国民全体の医療費の3分の1を占める

認知症の早期発見は全世界共通のテーマですが、世界で類をみない超高齢社会を突き進む日本にとっては喫緊の課題といえます。以前の記事でも触れましたが、日本では認知症にかかる社会的コストは膨大にのぼり、認知症にかかる医療・介護費と家族介護の負担も含めた「社会的費用」が、年間14.5兆円に上ると試算されています(2015年厚生労働省研究班の推計より)。

この額は、国民全体の医療費43兆円(2014年度予算)の3分の1にあたる規模になります。

アルツハイマー病の原因物質の診断が可能に

1月25日の日本経済新聞・科学技術面では、認知症の超早期診断に関する記事が掲載されていました。

少量の血液を調べることでがんを超早期に発見し、アルツハイマー病を発症前に診断する―こんな新技術の登場が間近だ。定期健診や人間ドッグで初期のがんや認知症の兆候をとらえ、早期治療や発症予防で先手を打つことが可能になる。
(引用)日本経済新聞(2016.01.25)『がん・認知症 超早期診断/血液検査で兆候を把握』

この記事では、血液検査によるアルツハイマー病の原因物質とされるたんぱく質=「アミロイドβ」の脳内蓄積を診断する手法の開発が進んでいることを紹介しています。

診断マーカーとなるたんぱく質をほぼ絞り込んだ。「年内にも人間の血液で確認をしたうえで、実用化の手続きを進めたい」という。
(引用)上記同様

この研究は理化学研究所脳科学総合研究センターの西道隆臣シニアチームリーダーらが放射線医学総合研究所と共同で取り組んでいるとのこと。早期診断のみならず、発症予防を組み合わせた戦略を立てようとしているらしく、今後の進展に期待がもてます。

認知症の早期発見手法の研究(イメージ)
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認知症の早期発見に向けての研究が進む

実はこの他にも、国内をはじめ様々な機関で「認知症の早期発見」について研究が進んでいます。

国立長寿医療研究センターはノーベル化学賞受賞者・田中耕一氏(島津製作所シニアフェロー)と共同で、「ごく少量の血液で、アルツハイマー型認知症が発症する前にアミロイドβの蓄積を検出する方法」を2014年11月に開発したことを発表しています。

本発見は、アルツハイマー病に伴う脳内変化を、臨床症状出現前に、侵襲度の低い血液検査で捉えることに世界で初めて成功したものであり、アルツハイマー病の根治薬や発症予防薬(先制治療薬)の開発に大きく貢献するものと期待されます。今後さらに多くの検体を対象に、他機関とも共同研究を行い、本バイオマーカーの臨床的有用性を確認して参ります。
(引用)国立長寿医療研究センター 2014年11月11日プレスリリースより抜粋
http://www.ncgg.go.jp/topics/20141111-1.html

この発見はあと数年は研究を積み重ね、実用化へ向けて動き出すことになります。これまでも脳内のアミロイドβの蓄積を検査する手法はあったものの、高額で経済的な負担が大きく一般的に利用できる検査ではありませんでした。

早期発見、早期対策が日本の未来を変える

アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)は発症する25年ほど前から原因物質とされるアミロイドβが脳内に蓄積しはじめ、長い年月をかけて神経細胞を破壊することがわかってきています。

この兆候を早期に発見することにより、できる限りそれ以上のアミロイドβの蓄積を避けるアクションをとるなど具体的な予防に取り組むことができます。

まだ医療的に明確なコンセンサスとなっている予防法はないものの、多くの科学的根拠が存在する習慣的な有酸素運動など、「より確からしい」予防法には取り組んでみる価値はあるはずです。またこれら認知症予防法は生活習慣病の予防法と共通するものが多く、「脳の健康を意識することで身体が健康になる」効果も見逃せません。

数滴の血液でアミロイドβ蓄積量検査が可能になり健康診断で40歳以上全員が毎年チェックするようになれば、全体的に認知症発症が遅れ医療費・介護費にも良いインパクトを与えることにつながります。さらなる研究の進展に期待しましょう。

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