なぜあの人は飲酒に喫煙でも元気なのか?

佐藤洋平

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出典元:pixabay.com

周囲を見渡すと酒もタバコもやるけど健康という人が何人かいるのではないでしょうか?体内の炎症や細胞破壊を反映する指標であるC反応性タンパク質(CRP)と認知症の進行、遺伝子の関係についての研究をご紹介します。

CRPと認知症、遺伝子の関係

世の中というのは大分不平等にできていて、いくらお酒を飲んでもタバコを吸っても歳をとっても元気な人というのがいますが、これはいったいなぜなのでしょうか。

今回取り上げる論文は、認知症の進行とC反応性タンパク質(CRP)、遺伝子の関係について調べたものです。

CRPというのは体内の炎症や細胞破壊を反映する指標で、これが高い人ほど認知症になりやすいというのが従来の定説でしたが、この論文では必ずしもそうとは限らないのではないかということが述べられています。

研究ではスコットランドとアイルランド、オランダに住む70歳から82歳の高齢者男女5804名を対象に、平均3.2年の追跡期間で認知機能とその低下率について調べています。

研究の結果、認知症の進行とCRPというのは従来言われているような因果関係を示さず、それよりもCRPの代謝に関わる遺伝子のタイプや、アルツハイマー病の発症遺伝子と言われるApoEε4の影響のほうがよほど強かったことが示されています。

なぜこのような結果になったかという理由として、CRPの濃度というのはあくまで副次的な指標であり、大事なのはCRPがどれだけ血管の中で凝固しているかであり、この凝固のしやすさというのはCRPに関わる遺伝子に影響されるからではないかということが述べられています。

生活習慣も大事だけど、生まれつきの身体の頑強さのようなものもあるのかなあと思いました。

論文要旨

・背景
慢性炎症のマーカーであるC反応性タンパク質(CRP)の血漿中濃度は、老年期の認知障害と関連している。しかし、CRPが認知機能低下に因果関係があるかどうかは不明である。

・方法と結果
平均年齢75歳の参加者5680人を対象とした高齢者プラバスタチン(PROSPER)試験におけるプラバスタチンの前向き研究では、CRPレベルとその遺伝的決定因子との関連を認知能力と関連づけ、3.2年以上の平均フォローアップで認知機能の減衰との関係について調査した。

血漿CRP濃度が高かったのは、Stroop試験(P = 0.001)およびLetter Digit Test(P <0.001)であり、ベースラインでの成績不良と関連していたが、Picture Learning Test(PLT;両方ともP> 0.5)ではそのような傾向は見られなかった。

前向き分析では、即時PLT(P = 0.016)の低下率の増加とCRP濃度に関連が見られたが、他の認知テスト(P> 0.11)では関連が見られなかった。

有力な心血管リスク因子および疾患の調整は、フォローアップ中のベースラインの関連性または認知低下との関連を変化させなかった。

CRPの4つのハプロタイプを調査し、一般的なハプロタイプと比較して、CRPのレベルと強く関連することが示された(すべてP <0.007)。 アポリポタンパク質Eと認知尺度との強い関連性と比較して、CRPハプロタイプとそのような尺度との関連性は一貫していなかった。 ・結論 血漿CRP濃度は、心臓血管疾患とは無関係の経路を介して認知機能と部分的に関連する(危険因子)。しかしながら、高いCRPレベルが生涯続くことと,老年における認知能力の低下と関連していない。 現在のデータは、認知能力においてCRPの因果的役割について議論を弱めるが、最終的な結論を導き出すためにさらなる研究が必要である。 http://journals.plos.org/plosone/article… PLoS One. 2011; 6(9): e23890. Published online 2011 Sep 7. doi: 10.1371/journal.pone.0023890 PMCID: PMC3168438 C-Reactive Protein and Genetic Variants and Cognitive Decline in Old Age: The PROSPER Study Simon P. Mooijaart,#1,* Naveed Sattar,#2 Stella Trompet,1,3 Eliana Polisecki,4 Anton J. M. de Craen,1 Ernst J. Schaefer,4 Sabine E. Jahn,4 Thomas van Himbergen,4 Paul Welsh,5 Ian Ford,6 David J. Stott,7 Rudi G. J. Westendorp,1,8 and on behalf of The PROSPER Study Group Ivan Cruz Moura, Editor