認知症予防に効く因子とリスクを増加する因子

佐藤洋平

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出典元:pixabay.com

認知症予防に効くのはどのような因子で 逆に発症リスクを増加するのはどのような因子なのか。一定の信頼度のある研究論文を総まとめした研究をご紹介します。

結局のところ,認知症には何が良くて何が悪いのか

何が認知症の発症を防ぎ、何が認知症の発症を促進するのかというのは数多くの研究がなされていますが、統一された見解もあれば、そうでない見解もあったりしてはっきりしないところがあります。

果たして今現在最も信憑性が高いのは、どのようなものになるのでしょうか。

今回取り上げる論文は認知症の予防や発症促進に関わる研究を総まとめにして、どの要素が信憑性があるかについて詳しく調べたものです。

研究では1984年から2008年までになされた信頼性の高い研究を対象に分析しているのですが、

認知症の発症を増加させる因子として

・ApoE4(アルツハイマー病発症関連遺伝子)
・血漿中の低セレン濃度
・うつ病
・糖尿病
・メタボリック症候群
・喫煙習慣

予防する因子としては

・認知訓練
・野菜摂取
・地中海食
・オメガ3不飽和脂肪酸
・身体運動
・レジャー活動

があげられています。

年をとってもよく働きよく食べよく遊ぶのが良いのかなと思いました。

論文要旨

背景:
多くの生物学的、行動的、社会的、および環境的要因が、認知低下の遅延または予防に影響する可能性がある。

目的:
高齢者における認知低下の推定上のリスクと保護因子、および認知を維持するための介入の効果についての証拠を要約する。

データソース:
1984年から2009年10月まで、MEDLINE、HuGEpedia、AlzGene、およびSystematic Reviewsのコクランデータベースの英文出版物。

研究の選択:
50歳以上かつ50人以上の成人参加者を対象にした無作為化比較試験(RCT)、300人以上の参加者を観察し、一般集団から抽出し、少なくとも1年間観察した観察研究。関連性の高い良質な体系的レビューも対象とした。

データ抽出:
研究デザイン、成果、および品質に関する情報は、ある研究者によって抽出され、別の研究者によって検証された。証拠質の全体的な格付けは、GRADE(勧告の評価、開発、評価の格付け)基準を用いて割り当てられた。

データ合成:
栄養因子の分野では、127の観察研究、22のRCT、および16の系統的レビューがレビューされた。医学的要因および薬物;社会的、経済的、または行動的要因;有害な環境暴露;遺伝学に関わる研究については、認知機能低下との関連を支持するのに十分な証拠がある要因はほとんどなかった。観察研究に基づいて、選択された栄養因子または認知的、身体的または他のレジャー活動の利益を裏付ける証拠は限られていた。現在のタバコ使用、アポリポタンパク質Eεps4遺伝子型、および特定の医学的状態は、リスクの増加と関連していた。 1つのRCTは、認知訓練(高品質の証拠)からの小さく持続的な利益を見出し、小さなRCTは、身体運動が認知機能を維持するのに役立つと報告した。

制限事項:
曝露の分類と定義は研究によって異なっていた。特定の曝露と認知低下との間の関連性を評価するために先験的に研究された研究はほとんどない。レビューには、英語の研究、優先順位付けされた分類結果、および小規模な研究を除外しただけである。

結論:
認知機能低下に関連するリスクまたは保護因子に関する証拠から、潜在的に有益な要因が特定されたが、証拠の全体的な質は低かった。

Ann Intern Med. 2010 Aug 3;153(3):182-93. doi: 10.7326/0003-4819-153-3-201008030-00258. Epub 2010 Jun 14.
Systematic review: factors associated with risk for and possible prevention of cognitive decline in later life.
Plassman BL1, Williams JW Jr, Burke JR, Holsinger T, Benjamin S.
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コンテンツ提供:脳科学リハビリテーション