痩せていることは肥満と同程度に認知症発症リスクが高い?

佐藤洋平

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出典元:pixabay.com

よく肥満などの生活習慣病と認知症との関連が指摘されますが、痩せていることは肥満と同程度に認知症発症リスクと相関があるとする研究をご紹介します。

認知症に見られるJカーブ現象

一般に肥満体型は認知症につながりやすいということが言われていますが、はたしてこれは本当なのでしょうか。

病院や施設で長生きしているおじいさんおばあさんを見ていると、割にふくよかな人がしゃっきりしながら長生きしているような気がしているのですが、なんだか肥満=認知症というのは老年期にはいまいち当てはまらないような気がします。

今日取り上げる論文は、老年期の肥満が認知症に関連しているかどうかについて調べたものです。

対象はオーストラリアのパースに住む男性65歳から84歳の12,047名で、肥満の指標としてBMI、ウエスト周径、ウエスト/ヒップ比を用いて、肥満傾向と認知症の発症リスクについて調べています。

結果を述べると、たしかに過度の肥満は認知症になりやすいものの軽度の肥満ではそうでもないこと、

また驚くべきことに痩せ型の老人男性は過度の肥満の老人男性と同じ位認知症のリスクが高くなることが示されています。

こういった現象はJカーブ現象と呼ばれ、過小であることが過大と同じような効果を示す現象が体型と認知症の間でも起こるようです。

研究の問題点として、被験者が全員男性であったこと、また対象は全員65歳以上で非認知症の高齢者なのですが、中年期で肥満であった人たちが認知症になったり死亡したりして、対象から除外された可能性があるといった点はあるようです。

健やかに歳を取るというのもなかなか容易でないなと思いました。

論文要旨

・目的
人生後期における脂肪過多が認知症の危険性を増加させるかどうかを判断する。

・方法
オーストラリアのパースに住む65〜84歳の12,047人の男性のコホート研究。

肥満度の参考として、調査開始時の肥満指数(BMI)、胴囲(WC)および腰部 – 腰部比(WHR)であった。

我々は、西オーストラリア州データ連鎖システム(WADLS)を用いて、国際疾病分類(ICD)に基づいて1996年から2009年の間に新たな認知症症例を判別した。

Cox回帰モデルを用いて、各肥満マーカーについての認知症の粗及び調整ハザード比(HR、95%信頼区間、95%CI)を計算した。

他の測定された要因には、年齢、婚姻状況、教育、アルコール使用、喫煙、食事、身体活動、および一般的な高血圧、糖尿病、脂質異常症および心血管疾患が含まれた。

・結果
BMIが25未満の男性と比較して、25-30歳のBMIを有する参加者は、認知症の調節HRが低かった(HR = 0.82,95%CI = 0.70-0.95)。

BMI≧30の男性の認知症のHRは、BMIが25未満の男性(HR = 0.82,95%CI = 0.67-1.01)と同等であった。

腰囲は認知症との明白な関連を示さなかった。

WHR≧0.9の男性は、WHR <0.9(HR = 0.82,95%CI = 0.69-0.98)の男性よりも、認知症の調整HRが低かった。 私たちは、肥満対策と認知症の危険性の間の「J」型の関連性を見出した。 BMIの過体重範囲にあり、かつWHRでは約1であるものがもっとも高いリスクを示した。 ・結論 高齢者のこのオーストラリアコホートでは、より高い肥満は認知症と関連していません。 太りすぎの男性およびWHR≧0.9の患者は、正常な体重およびWHR <0.9の男性よりも認知症の危険性が低い。 PLoS One. 2011; 6(3): e17902. Published online 2011 Mar 25. doi: 10.1371/journal.pone.0017902 PMCID: PMC3064574 Body Adiposity in Later Life and the Incidence of Dementia: The Health in Men Study Brian D. Power,1,2,3 Helman Alfonso,2,3 Leon Flicker,2,4,5 Graeme J. Hankey,4,6 Bu B. Yeap,4,7 and Osvaldo P. Almeida1,2,3,* John Breitner, Editor コンテンツ提供:脳科学リハビリテーション