開発中のアルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」、先駆け審査指定制度の指定を獲得

nounow編集部

medications-257336_1920
出典元:pixabay.com

アルツハイマー病治療薬として期待されるアデュカヌマブが厚生労働省より先駆け審査指定品目に指定されました。審査結果が非常に注目されます。

期待されるアデュカヌマブ

先月、バイオジェン・ジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:鳥居慎一)は、アルツハイマー病の進行を抑制する治療薬として開発中のアデュカヌマブについて、厚生労働省より先駆け審査指定品目に指定されたことを発表しました。

アデュカヌマブは、アルツハイマー病患者脳内のオリゴマーおよびアミロイドβを標的とするモノクローナル抗体です。

以前nounowでも取り上げたとおり(速報!認知症の免疫療法でアミロイドベータ抑制に成功〜初の認知症根治薬になるか)、
昨年8月、科学誌「Nature」に、米国とスイスの研究チームが、アデュカヌマブを月1回1年にわたり静脈注射することで、アミロイドベータが減少し、アルツハイマー型認知症の進行を遅らせることに成功したとする論文が掲載されました。

認知症の原因物質とされる脳内に蓄積されるアミロイドベータに対する抗体ベースの免疫療法はこれまで成功してきませんでした。

アデュカヌマブを、60代から80代の初期アルツハイマー病患者165人を2つのグループにわけ、一方に毎月1回、1年間静脈注射した(一方には偽薬を処方)ところ、患者の脳内アミロイドベータが減少、ほとんどのケースで進行を遅らせることができ、ほぼ健康な人と同じレベルまで改善した人もいたとしています。

現在、日本人を含む早期アルツハイマー病患者を対象に、認知機能ならびに日常生活機能の低下抑制を有効性の一次評価指標とする第III相国際共同試験(ENGAGE試験、EMERGE試験)において、有効性及び安全性を評価しているとのことで成果が非常に注目されます。

先駆け審査指定制度とは

これまで、厚生労働省では、海外では承認されていても国内では承認されていない未承認薬・適応外薬の問題(いわゆるドラッグラグ)を解消するため、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)の審査員の増員を通じて審査期間の短縮を図るとともに、学会等からの要望に基づき、医療上の必要性を評価した上で未承認薬・適応外薬の開発要請を通じてこれらの解消に努めてきました。

本制度は、この考えを更に推し進め、患者に世界で最先端の治療薬を最も早く提供することを目指し、一定の要件を満たす画期的な新薬等について、開発の比較的早期の段階から先駆け審査指定制度の対象品目(以下「対象品目」という。)に指定し、薬事承認に係る相談・審査における優先的な取扱いの対象とするとともに、承認審査のスケジュールに沿って申請者における製造体制の整備や承認後円滑に医療現場に提供するための対応が十分になされることで、更なる迅速な実用化を図るものです。
 
本制度では、原則として既承認薬と異なる作用機序により、生命に重大な影響がある重篤な疾患等に対して、極めて高い有効性が期待される医薬品を指定することとします。また、本制度はPMDAにおいて指名される審査パートナーを選任して、厚生労働省及びPMDA内部の関係各部との連携を強化するとともに定期的な進捗管理を通じて開発の迅速化を可能とし、新たに整備される相談の枠組みを優先的に適用し、かつ優先審査を適用することにより、審査期間を6ヶ月まで短縮することを目指します。
(厚生労働省HPより)

アデュカヌマブは「既承認薬と異なる作用機序により、生命に重大な影響がある重篤な疾患(アルツハイマー病)に対して、極めて高い有効性が期待される医薬品」として認められたということになります。

連敗続きのアルツハイマー病治療薬の中で

今年2月nounowで取り上げたとおりアルツハイマー病治療薬は連敗が続いています。(連敗が続くアルツハイマー病治療薬〜米メルク、アルツハイマー病治療薬の一部研究打ち切り

βセクレターゼ酵素阻害薬のベルベセスタットが臨床試験を中止、抗アミロイドβ抗体のソラネズマブも失敗と期待された治療薬が最終段階で頓挫することが続いています。

その中で非常に期待されるアデュカヌマブが最終段階で良い結果が出るか、世界の注目が集まります。