MCIになっても半数は回復する!?〜国立長寿医療研究センターの研究

nounow編集部

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国立長寿医療研究センターの軽度認知障害(MCI)に関する、従来の定説を覆す研究発表が話題を集めています。

国立長寿医療研究センターの研究

6月7日(水)の読売新聞の朝刊に、軽度認知障害(MCI)の高齢者に関する研究発表内容が掲載されました。

認知症「前段階」46%回復…高齢者調査(読売新聞6月7日朝刊)

国立長寿医療研究センターの研究班がまとめた発表によると、認知症の前段階と言われるMCIの高齢者を4年間追跡調査してみたところ、14%が認知症になったものの、46%は正常に戻りました。

MCIの段階から改善する例も多いことを示す結果であり、近く米医学専門誌に発表するとのことです。

研究は、認知症患者ではない65歳以上の住民約4200人を2011年から4間追跡、国際的なMCI判定基準に基づく150項目に回答する形での認知機能検査により、最初の時点で約740人(18%)がMCIと判定されました。

4年後に同じ検査を行ったところ、MCIと当初判定された人の46%は正常範囲に戻っていました。

この認知機能検査は、記憶力・注意力・処理速度・実行機能の4項目を検査しますが、MCIの中でも、1項目だけスコアが低いタイプが正常に戻った割合が39〜57%であるのに対し、複数の項目のスコアが低いタイプは20%台でした。

MCIの中でも、問題のある項目が少ないほど回復率が高い傾向がありました。

また、4年の間に認知症と診断された人の割合は、当初MCIと判定された人では14%と、当初正常だった人の5%に比べ、大幅に高くなっていました。

なぜ正常に戻ったのか

この追跡調査から、MCIと判定された高齢者でも認知機能が下がり続けると宿命づけられているわけではなく、維持・改善できる可能性を示したと言えるでしょう。一方でMCIと判定されて認知症になってしまう確率も正常な人に比べて大幅に高く、危険な兆候であることが改めて確認されました。

ただ残念ながら今回の発表では、認知機能が正常レベルまで回復した高齢者が、4年の間どのような生活を送ったのか、何を食べ何をしたか、介入があったのかなどの情報が不明です。今後さらに詳しく分析を進めていくようです。

ちなみに、MCIと判定された高齢者がこれまでと同様の生活を継続していたならば、約半数が正常の認知機能に回復するということは従来の調査結果からは考えられません。

早期診断でMCIと判定されたことにより、高齢者が認知機能低下を自覚ができ、生活習慣を改めるきっかけになり、実際に生活習慣を改善したのではないかと予測されます。

また、国立長寿医療研究センターがある愛知県大府市ということで、市全体(住民も含め)の健康意識が高く、何らかの介入があった可能性があること、また高齢者の意識も高く、それに積極的に参加したことが予想されます。

MCIから正常に戻った人の生活習慣に関する分析結果を待ちたいと思います。

早期発見・早期予防が重要

MCIは2012年の段階で400万人、認知症は462万人、2025年には認知症780万人、MCI580万人と試算されており、認知症とMCI合わせて1300万人、人口の9人に1人、65歳以上に限ると3人に1人が認知症もしくはMCIという未曾有の認知症社会に突入すると言われています。

従来はMCIになると半数が5年以内に認知症になるといわれていただけに、今回の研究はその真逆、MCIになっても半数近くが正常に戻るという非常に希望が持てる結果であり、「どうやって正常に戻ったか」に注目が集まるところです。

また、今後さらに長期にわたる調査により、一度MCIと判定されても生活習慣を改善することで長期にわたって認知機能を正常に保てることが明らかになれば、従来からいわれていることですが早期発見・早期予防がますます重要ということになります。

自分の認知機能の衰えを普段から意識し、おかしいなと思ったら医師の診断を受け、もしMCIと判定されたら諦めず対策をしていくことで認知症から逃げ切りたいですね。