コレステロール値とアルツハイマー病の関係

佐藤洋平

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アルツハイマー病の発症機序について述べた論文の中の、コレステロール値とアルツハイマー病の関係についてご紹介します。

アルツハイマー病の発症機序

アルツハイマー病の発症要因というのは多岐に渡るようですが,最終的にはアミロイドβと言われる蛋白質が神経細胞に集積して脳の変性を引き起こすようです。

一般的にコレステロールが上がるとアルツハイマー病になりやすくなるといわれますが、コレステロール値とアミロイドβとの間には何かしら関係があるのでしょうか。

今回取り上げる論文は,アルツハイマー病の発症機序について詳しく論じたものです。

この論文によると神経細胞の細胞膜には、海に浮かぶ筏(いかだ)のようにある特殊な領域があり、これは脂質ラフト(いかだ)と呼ばれているようです。

このラフトはその構造上、様々な分子が会合して相互作用を起こしやすいような造りになっており、詳しい機序は不明のようですが、コレストロール値が増えると、このラフトの形や機能も変化し、容易にアミロイドβの前駆物質が作られやすくなるようです。

体内のコレステロールの大部分は脳にあるそうですが、それゆえコレステロール値というのは脳の機能に影響を及ぼしやすいのかなと思いました。

論文要旨

アルツハイマー病(AD)は、異種の神経変性障害であり、世界中で最も一般的な認知症の形態である。

ADは、病理学的にアミロイド プラーク、神経原線維変化、神経細胞喪失、臨床的には認知能力の漸進的喪失が挙げられる。現在のところ、この疾患の根底にある分子機構は不明であり、ADの治療は知られていない。

疫学的証拠は、高血圧および糖尿病などの血管疾患と、AD発症リスクの高い高コレステロール血症とを結びつけ続けている。

また脳内のコレステロール代謝とAD発生におけるアミロイド斑の形成との間の機械的関連性を示唆する証拠が増えている。

コレステロールおよびスタチンは、細胞培養および動物モデルにおけるα-アミロイド前駆体タンパク質(βAPP)プロセシングを明らかに調節する。

スタチンは、内因性コレステロール合成を減少させるだけでなく、タンパク質イソプレニル化の減少などの他の様々な多面的栄養失調作用も発揮する。

これらの効果を介して、スタチンは、コレステロール(および膜ラフト)およびイソプレニル化の両方を含む様々な細胞機能を調節する。

血管炎症、酸化ストレス、遺伝的要因などの他の要因は明らかにADの進行と密接に関連しているが、このレビューでは、APP治療の規制とコレステロールの影響を記述した現在の研究結果に焦点を当てている。

スタチン類がこれらの事象を調節する際に果たす可能性のある役割についての考慮に加えて、特にβ-セクレターゼ複合体の集合および機能およびADの進行が含まれる。

J Cell Mol Med. 2007 May-Jun;11(3):383-92.
Alzheimer’s disease: cholesterol, membrane rafts, isoprenoids and statins.
Reid PC1, Urano Y, Kodama T, Hamakubo T.
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コンテンツ提供:脳科学リハビリテーション