認知症予防はいつからはじめるべきか

佐藤洋平

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認知症予防は早くて60歳から、70代80代が取り組むものというイメージがありますが、認知症予防研究において、被験者数や介入期間、介入時期、追跡期間がどれ位が妥当であるかについて論じた論文では、60歳未満が効果が出やすいと示唆されているようです。

60歳未満が効果が出やすい

認知症というのは生活習慣病といった一面もあり、それゆえ生活全般の管理が認知症予防で大事になってくるのですが、これに最適な年齢というものはあるのでしょうか。

どのような取り組みが認知症に効果的かを調べた研究は数多くあるのですが、今回取り上げる論文は、ヨーロッパで行われている大規模研究を例に取り、認知症予防研究において、被験者数や介入期間、介入時期、追跡期間がどれ位が妥当であるかについて論じたものです。

従来の研究の多くは60-70歳台を対象にしたものが多いのですが、費用対効果で見ればもっとも効果が出やすいのは60歳未満の年代であること、こういったことから被験者の数や介入時期,評価方法などに工夫が必要であることなどが述べられています。

やはり認知症予防は早めのほうが色んな意味で安くあがるのかなと思いました。

論文要旨

最近の疫学研究は、血管および生活習慣に関連する危険因子と認知症との間の多数の関連を示している。

しかし、認知症発症を予防または延期する上でこれらの危険因子を目的とした介入の有効性を示すランダム化比較試験(RCT)の証拠はまだ不十分である。

欧州では、これらの問題に取り組むために、認知症予防のための多要素介入(preDIVA、FINGER、MAPT)に関する3つの大規模RCTが開始されている。

方法論的な違いにかかわらず、3つの研究すべてが心血管および生活習慣に関連するリスク要因を対象としている。

新たに設立された「欧州認知症予防イニシアチブ(EDPI)」におけるコラボレーションにより、現在知られていない最適なターゲット人口、介入およびアウトカム対策の包括的な調査が可能となる。

進行中の研究データと実行中のシミュレーション解析を組み合わせることで、将来の多国籍臨床試験の認知症予防に関する正確なサンプルサイズ計算を含む最適設計の決定が容易になる。

認知症予防を目的とした介入は、追加の費用や参加者や医師の負担を増やすことなく、様々な保健医療システムで大規模に実施することが実用的で容易でなければならない。

介入の最適年齢がアウトカムアセスメントの最適年齢に先行するため、従来の試行設計では、2つのいずれかの次善策のタイミングが導かれる可能性がある。

介入と結果の評価を時間的に分離することは潜在的な解決策だが、非常に長い追跡調査を必要とする。

認知症予防研究の経験を持つ研究グループと、これらの主要プロジェクトのための整理された物流の国際的な協力は、将来の大規模な認知症予防研究の成功のために重要である。 EDPIの創設は、この方向で重要な第一歩であるといえる。

J Neurol Sci. 2012 Nov 15;322(1-2):64-70. doi: 10.1016/j.jns.2012.06.012. Epub 2012 Jul 19.
Methodological challenges in designing dementia prevention trials – the European Dementia Prevention Initiative (EDPI).
Richard E1, Andrieu S, Solomon A, Mangialasche F, Ahtiluoto S, Moll van Charante EP, Coley N, Fratiglioni L, Neely AS, Vellas B, van Gool WA, Kivipelto M.

コンテンツ提供:脳科学リハビリテーション