高齢者は認知症リスクをいくつ抱えているのか?

佐藤洋平

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近年の研究で血管病変が認知症の発症に影響していることが明らかになってきていますが、高齢者がどれくらいこの血管病変リスクを抱えているかについて調査した研究についてご紹介します。

血管病変リスク

認知症というのは、その代表的なものにアルツハイマー型認知症と脳血管型認知症の二つがあるのですが
この両者ともに血管の老化が発症の主要因子となっていることが近年の研究から明らかになっています。

それゆえ血管の健康を保つようなアプローチがそのまま認知症の予防にもつながると考えられているのですが、一般に高齢者は血管病変リスクをどの程度抱えているのでしょうか。

今回取り上げる論文は、高齢者に対する血管病変予防アプローチが認知症発症の低下にどの程度影響を与えるかについて調べたものになります。

この研究はまだ始まったばかりであり、この論文では対象となる高齢者(70-78歳)が、どの程度血管病変リスクを抱えているかについて報告しているのですが、

血管病変リスクを

1 高血圧
2 BMI>30
3 高脂血症
4 現在喫煙している
5 運動不足

というように見ると、
1004人の被験者の中でも87%が最低一つの血管病変リスクを抱えており、その最大のものが高血圧であることが示されています。

この研究では、地域の看護師が主体となって、対象になる高齢者にこれらの血管病変リスクを減らすよう集中的に関わることで、認知症の発症リスクどう変わるかを6年間追いかけるそうです。

自分だけでの健康管理というのはなかなか難しいと思うのですが、地域の知った顔の看護師が関わることで、より効果的に健康管理ができるのかなと思ったり、
いわゆる地域リハビリテーションの様な関わりが、認知症の予防に有効になるのかなと思いました。

論文要旨

背景と目的:
心臓血管の危険因子は、認知症のリスク上昇と関連している。高血圧および高コレステロール血症の治療は、認知症の減少と関連している。晩年の心血管リスク要因を目的とした介入が認知症リスクを低下させるかどうかは不明である。ここでは、この質問に答えようとする実用的な研究の概要を報告し、標的人口における心血管リスク因子の罹患率を説明する。

方法:
私たちは、プライマリケアの看護師主導の集中的な血管ケアが認知症の発生率を低下させ、障害を減少させるかどうかを評価するために、3700人の高齢者(70〜78歳)で6年間のフォローアップを伴う大規模な無作為試験を設計した。副次的結果パラメータは、死亡率、血管事象の発生率、および認知機能である。集中的な血管治療は、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病の治療、および過体重、禁煙、および身体運動の刺激を含む。

結果:
1004人の被験者のベースラインデータは、被験者の87%が1つ以上の心血管リスク因子を有し、44%が2つ以上のリスク要因であっても治療に適していることを示している。抗高血圧薬を服用している被験者の79%には依然として140mmHg以上の収縮期血圧がある。

結論:
この高齢者グループでは、心血管リスク因子を有する高齢の被験者の割合が非常に高いことが、心血管リスクを低下させ、潜在的に認知症のリスクを低下させる治療の機会の大きな可能性を示している。

Alzheimer Dis Assoc Disord. 2009 Jul-Sep;23(3):198-204. doi: 10.1097/WAD.0b013e31819783a4.
Prevention of dementia by intensive vascular care (PreDIVA): a cluster-randomized trial in progress.
Richard E1, Van den Heuvel E, Moll van Charante EP, Achthoven L, Vermeulen M, Bindels PJ, Van Gool WA.

コンテンツ提供:脳科学リハビリテーション