米国版フィンガー研究がスタート〜AAIC2017より(前編)

nounow編集部

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今月ロンドンで開催された、AAIC2017(Alzheimer’s Association International Conference 2017)で米国版フィンガー研究が開始されることが発表されました。その他にも興味深い報告がいくつかあり2回に分けてご紹介します。

フィンガー研究の米国版「US POINTER」

アルツハイマー病協会は今月19日、AAIC2017(2017年アルツハイマー病協会国際会議)において、多角的な生活習慣介入による認知症予防の可能性を探るため、米国で2年間、認知症症状がなく今後発症リスクがある高齢者2500人を対象に、2000万ドルをかけて臨床試験「The U.S. study to PrOtect through a lifestyle INTErvention to Reduce risk=US POINTER」を実施すると発表しました。

AAIC2014で報告された、スウェーデンのカロリンスカ研究所およびフィンランドのヘルシンキにある国立健康福祉センターのミーア・キビペルト医学博士らが発表したフィンガー研究は、ランダム化比較試験による多角的な生活習慣介入による認知機能改善効果を示しました。
フィンガー研究が示した総合的な認知症予防の有効性

今後の認知症予防のスタンダードともいわれるフィンガー研究モデルは、米国・欧州・シンガポール・オーストラリアで再現されており、WW-FINGERSと総称される世界規模の試験の協力ネットワークが形成され、グローバルな科学的効果を最大化するため調査手法の協調、経験・データの共有を行っているとのことです。日本もこの協力ネットワークに入り同様の取組を行うことが期待されます。

アルツハイマー病協会の最高科学責任者、マリア・カリージョ博士曰く、

われわれは現在、薬品と生活習慣のコンビネーションで心臓病を効果的に予防、治療することができる。同じことはがんの一部、HIV/AIDSにも当てはまる。アルツハイマー病やその他の認知症に同じことが言える日は、さほど遠い将来ではない

また、米ノースカロライナ州ウィンストンセーラムにあるウェイクフォレスト大学医学大学院に所属する共同首席治験責任医師のローラ・ベーカー博士は

今のところ、フィンガー研究同様の結果を生み出した認可薬剤はない。米国のように大きく多様な人種で、多角的なライフスタイル介入の効果テストを緊急に必要としている。US POINTERの生活慣習介入は、脳の健康を守り認知症リスクを軽減し得る重要な多角戦略である

と語ったとのことです。

今回の米国での臨床試験「US POINTER」、非常に注目されます。

PETによるアミロイドベータの可視化

またAAIC2017では、2016年から4年間の予定で実施されている研究プロジェクト「IDEAS STUDY」の中間成果が報告されました。

「IDEAS STUDY」とは、アミロイドベータの画像化の有用性を評価するべく、65歳以上の軽度認知症または認知症のメディケア受益者18,000人を対象に、PETによるアミロイドベータの画像検査を実施するもの。

PETによる検査で、軽度認知症患者の54.3%、認知症患者の70.5%がアミロイドベータの陽性で、この検査結果から、軽度認知症患者の67.8%、認知症患者の65.9%に、薬物療法やカウンセリングなど、医学的管理に何らかの変更がなされたとのことです。

「IDEAS STUDY」の主席研究者、米カリフォルニア大学ジル・ラビノビッチ博士は、「当初仮説ではアミロイドベータの画像検査で3割程度の症例で医学的管理が変わるだろうと予測されていたが、今回の中間結果ではそれを上回る影響をもたらした」と評価しています。

アミロイドベータを画像化するPETが今後の治療に導入され、治療効果が上がっていくことが期待されます。