アルツハイマー病の脳には栄養が足りていない?

佐藤洋平

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アルツハイマー病患者の脳の栄養状態を調べた116本の論文のメタ解析についてご紹介します。

アルツハイマー病患者の脳の栄養状態

小さい頃はお魚は脳の栄養になるから食べなさいとよく促されたものですが、
アルツハイマー病患者の脳では、果たして脳の栄養状態はどのようになっているのでしょうか。

今回取り上げる論文は、アルツハイマー病患者の脳内の微量栄養素について調べられた過去の論文をもとに、その関係性について詳しく調べたものです。

この研究ではアルツハイマー病患者の脳および血漿中のビタミン、ミネラル、微量栄養素について調べた116本の研究を集め、データを全てまとめてその関係性について調べています。

結果を述べると、アルツハイマー病患者の脳/脳脊髄液ではドコサヘキサエン酸(DHA)、コリン含有脂質、葉酸、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンEののレベルが有意に低下していることが示されています。

これは単にアルツハイマー病患者の食事のせいだけではなく、アルツハイマー病に関連する遺伝子の影響で、脳の保護に大事な栄養を適切に代謝できないことも関連しているそうです。

栄養管理というのは難しいなと思いました。

論文要旨

・序論
アルツハイマー病(AD)患者は、生理学的および心理的要因のために栄養不足のリスクがある。最近、我々は、メタアナリシスの結果を、AD患者におけるビタミンA、B12、C、Eおよび葉酸の血漿レベルの低下が認知機能のない高齢の対照(対照)と比較して示した。現在、AD患者と対照との間で、血液および脳/脳脊髄液(CSF)レベルのビタミン、ミネラル、微量元素、微量栄養素、および脂肪酸を比較する研究を選択して、より広範な文献検索を行った。

・方法
1980年以降、Control Trials、Medline、Embase電子データベースのCochrane Central Registerに掲載された文献は、選択基準に合った研究を検出するためのSystematic ReviewおよびMeta-AnalyzesガイドラインのPreferred Reporting Itemsを用いて体系的に分析された。使用される検索用語は、AD患者、コントロール、ビタミン、ミネラル、微量元素、微量栄養素、および脂肪酸である。特定の栄養素について4つ以上の刊行物が検索された場合、AD患者と対照との年齢差を補正した線形混合モデルを用いたランダム効果メタ分析を実施した。

・結果
アルツハイマー病患者の脳/脳脊髄液ではドコサヘキサエン酸(DHA)、コリン含有脂質、葉酸、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンEののレベルが有意に低下していた。さらに、AD患者の血漿中で低かったものとしてDHA、エイコサペンタエン酸、ホスファチジルコリンとしてのコリン、およびセレンが挙げられた。

・結論
現在のデータは、AD患者がDHA、コリン、ビタミンB12、葉酸、ビタミンC、およびビタミンEが脳脊髄液 /脳における利用率が低下していることを示している。しかしながら、この観察においてより良い洞察を得るために、循環および中央の栄養状態を同時に測定するためのより多くの研究が必要である。 ADの病態生理学的メカニズムへの栄養素の関与と相まって、AD患者は特定の栄養要求を有する可能性があることを示唆している。この仮説は、多成分栄養介入を用いて試験することができた。

Alzheimer’s & Dementia: Translational Research & Clinical Interventions
Volume 3, Issue 3, September 2017, Pages 416-431
Review Article
Lower brain and blood nutrient status in Alzheimer’s disease: Results from meta-analyses
Martijn C.de Wilde et al.
コンテンツ提供:脳科学リハビリテーション