匂いを感じなくなると認知症発症のリスクが高い!?

大塚真紀

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嗅覚検査によって認知症発症予測が可能になることを発表したアメリカの研究チームの論文と嗅覚に刺激を与えることで認知症予防の可能性があることを発表した鳥取大学の研究論文についてご紹介します。

嗅覚と認知症の関係とは

認知症になると匂いがわからなくなるという症状が出ることがわかっています。具体的には、食べ物が腐っていても気付かない、料理が焦げていても気付かない、味を感じないので食欲がない、などという症状になります。認知症の人が嗅覚障害を発症する原因として、脳の中で匂いを感じる嗅覚野(きゅうかくや)の機能低下が考えられています。認知症では、脳の血流低下が起きるため嗅覚野のはたらきも低下するのではないかといわれています。

認知症になると匂いがわからなくなるという症状が出るようですが、認知症の発症前には嗅覚障害は起こらないのでしょうか。その疑問を明らかにした研究報告を紹介します。

匂いを感じなくなるのは認知症発症のリスク

アメリカの研究チームは、匂いを感じなくなると認知症を発症する可能性が高いことを2017年9月に「Journal of the American Geriatrics Society」誌に発表しました。アルツハイマー病などの認知症の初期症状として、匂いを感じなくなる、つまり嗅覚障害を生じることが以前から指摘されています。そこで研究チームは、57歳から85歳のアメリカの高齢者2906名に対して匂いに関する検査を行い、5年後の認知症発症と関連するかどうか調べました。匂いの検査は、5つの一般的な匂いをかいでもらい特定できるかどうかをみました。認知症の発症の有無は、医師の診断によることとしました。

結果を見てみると、5つの匂いの中で4つ以上を特定できなかった人は、匂いを全て特定できる、あるいは1つしか間違えなかった人に比べて5年後に認知症を発症するリスクが2.13倍でした。また、特定できた匂いの数が少ない人ほど、より認知機能の低下を起こすこともわかりました。

今回の結果から、認知症発症を匂いの検査によって予測できることが明らかになりました。研究チームは、匂いの検査は安く、誰でも簡単にできるので認知症発症を予測する検査法の1つとして有用ではないかと期待しています。

今回はアメリカの高齢者を対象としているため、今後世界各国の高齢者を対象に研究が行われることが期待されます。

嗅覚を刺激すると認知症予防になるかもしれない

認知症の発症前に、嗅覚障害が起きることが研究によって明らかにされました。では、嗅覚を刺激することで認知症の予防はできるのでしょうか。鳥取大学の浦上教授が率いる研究チームは、嗅覚に関わる嗅神経を刺激すると近くに存在する海馬という記憶を司る脳の一部を活性化するのではないかと考えています。

同研究チームが2009年に報告した研究によると、昼と夜にアロマオイルを使用したところ認知機能の改善効果があったことが明らかになっています。昼には、ローズマリーカンファーとレモンをブレンドしたアロマオイル、夜はラベンダーとスイートオレンジをブレンドしたアロマオイルを使用したそうです。同研究チームは、認知症予防へのアロマセラピーのさらなる可能性について追及する研究を行っているそうなので今後の報告に期待したいです。

<参照サイト・参考論文>
http://urakami-lab.med.tottori-u.ac.jp/study.html
J Am Geriatr Soc. 2017 Sep 25. doi: 10.1111/jgs.15048.
Olfactory Dysfunction Predicts Subsequent Dementia in Older U.S. Adults.
Adams DR, Kern DW, Wroblewski KE, McClintock MK, Dale W, Pinto JM.