頭痛は認知症発症のリスクになる

大塚真紀

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頭痛と認知症の発症リスクとの関連を調べた研究をご紹介します。

怖い頭痛と怖くない頭痛

頭痛は肩こりや腰痛などのように多くの方が経験する症状のひとつです。頭痛には、命に関わるような怖い頭痛と命に関わらない頭痛があります。命に関わらなくても、日常生活に支障をきたすような頭痛で困っている方もいます。

命に関わるような怖い頭痛を起こす疾患には、脳動脈瘤破裂やくも膜下出血、脳出血、髄膜炎などが含まれます。今まで経験したことのない、または急に殴られたかのように痛む、のように表現されるような激しい頭痛を自覚することが多いです。一方で、片頭痛や緊張型頭痛などではホルモンバランスの変化や血流、気圧や気温の変化、緊張、ストレス、肩こりなどに伴う長期間にわたる頭痛を自覚するといわれています。片頭痛や緊張型頭痛は、医学的に原発性頭痛とよばれており、脳の病気と関連している可能性もあります。

では、認知症と頭痛の関連はあるのでしょうか。認知症の症状のひとつとして頭痛があるといわれています。認知症というと物忘れが先に起きるのではないかと考えるかもしれませんが、実際には頭痛やめまいなどを最初に自覚することも多いそうです。

頭痛は認知症発症のリスクになる

頭痛が認知症の症状の1つとして考えられるものの、頭痛もちであることが認知症発症に関与するかどうかはわかっていませんでした。台湾の研究チームは、高齢者を対象にした研究を行い、頭痛があると認知症を発症するリスクが上昇することを2017年3月に「The American journal of the medical sciences」誌に報告しました。

研究チームは、研究を開始して1年間の間に片頭痛や緊張型頭痛などを含む原発性頭痛と診断された3620名と健常者10860名を対象に、認知症の発症リスクを検証しました。研究期間は10年間としました。
研究結果をみると、原発性頭痛患者では全体の4.7%である170名が認知症を発症し、健常者では全体の3.99%である433名が認知症を発症しました。また、頭痛がある人はない人に比べると認知症を発症する可能性が約2倍であることがわかりました。

片頭痛と緊張型頭痛は、脳の血管疾患に関連しない認知症の発症に関連することが明らかになりました。しかし、今回の研究では頭痛がなぜ認知症の発症リスクを上げるのかという理由は明らかになっていません。今後、頭痛と認知症発症に関するメカニズムの解明が行われることが期待されます。

頭痛が気になる場合の対処法

では、頭痛を自覚したらどのように対処したらよいのでしょうか。もちろん、激しい頭痛の場合には、命に関わる可能性もあるので救急外来へ行くべきです。長い間頭痛で悩まされている場合には、内科、神経内科、または頭痛を専門としている頭痛外来がある医療機関を受診するとよいかもしれません。医師の診察を受ける前に、頭痛がどのようなタイミングで起きるか、1日または週、月に何度くらいの頻度で起きるか、どこが痛むか、頭痛に合併する他の症状はあるか、などを整理しておくと診断の助けになる可能性があります。

頭痛は市販薬で様子をみることもできますが、今まで経験したことのないような激しい頭痛、または長期間続いていて日常生活に支障を来すような頭痛の場合には早めに医療機関を受診することをおすすめします。

<参照サイト・参考論文>
1)  Am J Med Sci. 2017 Mar;353(3):197-206. doi: 10.1016/j.amjms.2016.12.014. Epub 2017 Jan 4.
Headaches and Risk of Dementia.
Tzeng NS, Chung CH, Lin FH, Yeh CB, Huang SY, Lu RB, Chang HA, Kao YC, Chiang WS, Chou YC, Tsao CH, Wu YF, Chien WC.