集中的血圧治療がMCIと認知症発症リスクを低下させる〜AAIC2018より

nounow編集部

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7月にシカゴで開催された、AAIC2018(Alzheimer’s Association International Conference 2018)で集中的な血圧治療がMCI(軽度認知障害)や認知症発症を減らすとする研究が発表されました。その他の注目を浴びた研究も含めまとめています。

SPRINT MIND試験

AAIC 2018で発表されたSPRINT MIND試験の予備調査結果は、高血圧治療を通じてMCIと認知症のリスクを軽減する比較的確かな証拠を示しました。

この調査は、高齢者の高血圧を管理するための2つの方法(収縮時血圧目標を120mmHg未満とする集中的な治療法と140mmHg未満とする標準的な治療方法)の認知症・MCIへの影響を比較したランダム化比較による臨床試験です。

この研究の参加者は、心血管リスクは高いものの糖尿病・認知症・脳卒中と診断されていない高血圧の高齢者9,361人で、参加者の平均年齢は67.9歳、女性は35.6%でした。8,626人(92.1%)が少なくとも1回は追跡認知評価を受けています。

参加者の募集は2010年10月に始まり、1年目の最高血圧の平均は集中治療群が121.4 mmHg、標準的治療群が136.2 mmHgでした。治療2015年8月に終了しましたが、認知評価は2018年6月まで継続されました。

SPRINT MIND試験の結果から、集中治療群では、標準的治療群と比較して、MCI新症例率が統計的に有意の19%(p=0.01)低いことが明らかになりました。また、MCIとあらゆる原因による認知症を合わせた発症は、集中治療群の方が標準的治療群より15%低かったとのことです(p=0.02)。なお、認知症の疑いのある人だけでは有意な減少はありませんでした(HR=0.83,p=0.10)。

ウィリアムソン教授は
「これは、医師や高血圧患者は心臓と脳を健康に保つことに専念すべきであることを示している。認知上の健康を維持するためのこの新しい研究結果は、中年の健康なライフスタイルを変え、それを維持するためのもう1つの有力な根拠を提供している」と語りました。

また、Alzheimer’s Associaionの最高科学責任者であるマリア・C・カリーヨ博士は
「SPRINT MIND研究に見られるMCIの新症例は、我々が希望を抱く多くの理由を与えてくれる。それはわれわれが現在、心血管系疾患に対して行っている薬剤と変更可能な危険因子介入を組み合わせた療法である。アルツハイマー病の新療法は長年認可されていない。我々はアルツハイマー病とその他の認知症とともに生活する数百万人、さらにそのリスクがある数百万人によりよい治療・予防戦略を提供するため、基礎科学から臨床試験まで大胆な措置を必要としている」と語りました。

女性の妊娠・出産歴と認知症リスク

また、女性の出産歴と認知症リスクの初の大規模研究を含め、生涯における認知症やアルツハイマー病と関係のある性差について発表されました。

*認知症リスクと子供の数、流産の数、初潮年齢、生殖期(初潮と閉経の間の年数)との間の関係性
*別の研究において、妊娠の累積月数とアルツハイマー・リスクとの相関関係
*ホルモン療法は認知に悪影響を与えるという長年の考え方の再考
*女性の認知症診断精度向上の為の性差を考慮した認知評価基準の必要性

具体的には
・子供が3人以上いる女性は、子供が1人いる女性に比べて、認知症のリスクが12%低かった。

・流産の経験がないと報告した女性に比べて、流産の経験回数ごとに認知症リスクが9%増大した。

・初潮年齢が16歳以上と報告した女性は、13歳以下であると報告した女性よりも認知症リスクが31%高かった。

・46歳以降に自然閉経した女性と比較して、45歳以前に自然閉経を経験した女性は、認知症リスクが28%高かった。

などになります。

他にもLGB高齢者の認知症患者に関する研究、認知症の非認知症状の治療に関する研究、アルツハイマー病診断の新たなガイドラインなども発表されました。

参考:https://www.alz.org/aaic/2018_news_releases.asp