運動は音楽と組み合わせると、もっといい!?

nounow編集部

運動(体操)と音楽の組み合わせが脳によい?(イメージ)
出典元:pixabay.com

有酸素運動の効果はすでに周知されつつありますが、運動に音楽を組み合わせるとより効果があるとする研究があります。音楽だけでも一定の効果が認められており、生活の中に運動と音楽をとりいれていくことは認知機能維持に良さそうです。

産官学の共同研究プロジェクト

継続的な有酸素運動が認知機能の維持に効果があるということは、世界的に様々な研究結果があります。nounowの記事「有酸素運動が海馬を大きくする!?」「1日8,000歩・20分の速歩きで、認知症予防」でもふれた通りです。

2014年、国立大学法人三重大学、三重県御浜町、三重県紀宝町および一般財団法人ヤマハ音楽振興会は、2年間の共同研究の結果、有酸素運動と音楽の組み合わせが有酸素運動だけのときより認知機能の維持・改善の効果が高かったと発表しています。

地域在住の健常高齢者を対象に認知症予防を目的とした、音楽体操プログラムを用いた共同研究「御浜・紀宝プロジェクト」を2011年から2012年にかけて1年間実施しました。その結果、適切な運動と音楽を組み合わせた音楽体操プログラムを実施することで、認知機能の維持・改善により効果のあることが証明され、4月25日(金)に国際的に権威のある医学系オンラインジャーナル「PLOS ONE」に論文が掲載されました。
(引用)適切な運動と音楽の組み合わせにより認知機能の維持・改善に効果!産学官連携による地域在住高齢者を対象とした研究 御浜(みはま)・紀宝(きほう)プロジェクト

運動+音楽の効果についてさらなる研究も必要

この研究は、まず健康な高齢者(65歳以上)を3グループに分けました。音楽体操群(運動+音楽)、体操群(運動のみ)、脳検査群です。それぞれで実施前後に頭部MRI、心理検査(知能、記憶、前頭葉機能)、血液検査、生理検査、近赤外線分光法を実施し、運動+音楽の認知機能に対する効果を検証したものです。

研究結果としては、音楽体操群はMMSE、視空間認知、RCPM(レーヴン色彩マトリックス検査)において、介入後に有意に改善しました。

本研究のプロジェクトのリーダーを務めた三重大学の佐藤正之准教授は以下のように述べています。

適度な運動(有酸素運動)が認知症、アルツハイマー病の発症予防に有効とのエビデンス(科学的根拠)はほぼ確立しています。フィギュアスケートやラジオ体操の例で分かりますように、音楽に合わせて体を動かすには、動きとバックに流れる音楽を連動させることが必要です。そのためには、運動をしながら音楽を聞き、その曲のリズムやテンポを分析し、それと運動が合っているか否かを判断し、さらにその結果を自らの運動にフィードバックするという操作を、同時に行わなければなりません。これはかなり複雑な認知課題と言えます。また、歌唱はそれ自体が有酸素運動であることから、音楽伴奏がついた運動は、伴奏なしの運動に比べて、認知機能への効果がより高まることは十分に予想されることでした。
(引用)適切な運動と音楽の組み合わせにより認知機能の維持・改善に効果!産学官連携による地域在住高齢者を対象とした研究 御浜(みはま)・紀宝(きほう)プロジェクト

確かに、単なる有酸素運動だけではなくそこに音楽が伴うことで、実行する上で新たなハードルが課され、脳に一定の負荷をかけることになります。先日更新した記事「運動が脳に与える影響(2016.04.05更新)」でも社交ダンスやデュアルタスクの効果を取り上げましたが、実行の難易度があがるということはそれだけ脳を使っていることになります。

今回取り上げた研究に関しては、上記で示した3つの検査では有意に向上したのですがそれ以外については言及がなく、運動と音楽を組み合わせた効果のさらなる研究が期待されます。ただし社交ダンスやデュアルタスクの効果も考えると一定の前向きな評価はできるのではないでしょうか?

音楽の認知機能維持効果

音楽療法をご存知でしょうか?

音楽療法は2つに大別され、広義では健康な方を対象に音楽健康法として音楽をレクリエーション的に楽しむことであり、狭義では治療を目的として実践を通し観察・評価を行うものです。

2005年の愛知教育大学で、認知症の高齢者に対する音楽療法に関する論文を対象にシステマティックレビュー※を行った研究結果があります。
※システマティックレビュー=世界中の研究データ(論文)をくまなく探して、ランダム化比較試験など信頼度の高い研究データを抽出し、データの偏りを除いて分析し総合的な結論を出したもの

オンラインデータベース(Pubmed,PsycINFO)を用いて、1982年から2002年までの20年間に収載されているすべての論文について、“music and dementia”, “music and Alzheimer”をキーワードとして検索した。次に、これらの検索結果に対して、総説、症例報告、メタアナリシス、方法や評価が不明確であるものを除いた論文について3人の独立した研究者が論文を5段階(I~V : Iが論文の質が最も高い)で評価した。
(引用)http://ir.nul.nagoya-u.ac.jp/jspui/handle/2237/8800

ここでは、ランダム化比較試験についての課題なども指摘されていますが、認知症の高齢者に音楽療法が効果的であったことが確認されています。今や音楽療法は協会認定の「音楽療法士」が増加し、補完代替医療の中で他の療法と併用を試みられるなど、重要な役割を担いつつあります。

運動、音楽、その組み合わせ。いずれも認知機能維持に一定の効果が認められるようです。
生活の中に運動と音楽を。

(出典)適切な運動と音楽の組み合わせにより認知機能の維持・改善に効果!産学官連携による地域在住高齢者を対象とした研究 御浜(みはま)・紀宝(きほう)プロジェクト