家事は認知症を防ぐか?

佐藤洋平

家事は身体運動(イメージ)
出典元:pixabay.com

各種健康調査アンケートの「どれくらい身体活動しているか」という設問は本人の自己評価で回答することがほとんどですが、デバイスを装着し実際の身体運動量と認知症の関係を調査した論文を紹介します。家事でチャキチャキ動くことは認知機能維持につながるのでしょうか?

日常の身体活動と認知症

家事が好きなおばあちゃんは、草をとったり床を磨いたりあちこち掃除をしたりで一日中チャキチャキ動いてます。

こういった「チャキチャキ動く生活」はアルツハイマー病の予防に何かしら影響をあたえるのでしょうか?

今日取り上げる論文は、日常生活の身体活動とアルツハイマー病の発症の関係について探ったものです。

身体活動量と認知症の関係

運動が認知症の予防に大事というのはよく言われることですが、運動をするしないといったことや、運動をどれくらいするということは本人の主観的な評価(アンケート調査)によるものが多く、実際どれくらいカラダを動かしているかという定量的な評価を元にした研究はあまりされてこなかったようです。

この研究では

  • 被験者は716名の認知症を発症していない高齢者
  • 身体活動量は手首に巻いたリストバンドのような特殊機器で定量的に測定
  • 測定期間は24時間×10日
  • 平均追跡期間は4年でアルツハイマー病を発症するかどうかで評価

という方法で日常的な身体活動量とアルツハイマー病の発症の関係について探っています。

ちなみにこの研究では日常的な身体活動量は女性のほうが男性よりも高かったようです。

結論はやはり、日常的な身体活動量が高いとアルツハイマー病になりにくく、最も身体活動量が高い人と最も低い人を比べた場合、発症率は約2倍違うとのことでした。

やはり日常的にいろいろと体を動かすことは大事で、仕事をリタイアして毎日ゴロゴロというのも楽しそうな気もしますが、脳にはあまり良くないようです。

【論文要旨】
目的)客観評価された日常生活の身体活動とアルツハイマー病の関係について十分明らかにする。
方法)前向きコホート研究であるRush Memory and Aging Projectに参加した716名の高齢者を対象にActigraphyを非利き手に装着して総合的かつ客観的な日常生活の身体活動量の評価を行った。また認知機能検査を行い、その後のアルツハイマー病の発症と認知機能の低下の関連について調査を行った。
結果)フォローアップ期間は平均4年であったが、71名がアルツハイマー病を発症した。統計処理を行った結果、年齢、性別、教育、総合的身体活動量がアルツハイマー病の発症リスクと関連していた。諸指標で調整を行った結果、総合的身体活動量が総合的な認知機能の低下率と強い相関を示した。

結論)高い身体活動量はアルツハイマー病のリスク低下と関連する。

https://www.researchgate.net/…/links/0c960533c5722df0490000…
Neurology. 2012 Apr 24; 78(17): 1323–1329.
doi: 10.1212/WNL.0b013e3182535d35
PMCID: PMC3335448
Total daily physical activity and the risk of AD and cognitive decline in older adults
A.S. Buchman, MD,corresponding author P.A. Boyle, PhD, L. Yu, PhD, R.C. Shah, MD, R.S. Wilson, PhD, and D.A. Bennett, MD

出典:「脳科学 リハビリテーション」)