有酸素運動と脳トレ。脳への影響の違いとは?

nounow編集部

脳トレと有酸素運動(イメージ)
出典元:pixabay.com

認知症予防、認知機能維持に良いといわれる有酸素運動と脳トレ。それぞれが脳の認知機能や血流にどのような影響を与えるか実験した研究を紹介します。

有酸素運動と脳トレの脳への効果を比較した実験

ダラスのテキサス大学脳健康センターで行われた新たな研究によると、いわゆる脳トレ(cognitive brain training)により実行機能が改善し、有酸素運動により記憶力が高まることが明らかになりました。

オープンアクセス誌「Frontiers in Human Neuroscience」に掲載された論文によると、この研究では 56–75才の座りがちな生活を送っている健康な成人を脳トレを行う群と有酸素運動を行う群とに分け、12週間にわたり週3時間の訓練を行いました。そしてMRIで取得した脳血流量データと脳血管反応性データを取得し、比較しました。

脳トレを行った群は、テキサス大学脳健康センターが開発したStrategic Memory Advanced Reasoning Training (SMART)とよばれる脳トレを行いました。これは、戦略的注意(脳リソースの優先順位付け)、総合分析能力(情報をより深いレベルまで合成)、ならびにイノベーション(流動的思考、多様な視点の取得、ならびに問題解決の促進)という3つの実行機能に眼目を置いたものでした。

この群では、脳の実行機能が好転し、全体的な血流量が7.9パーセント上昇しました。

研究の筆頭著者であり、脳健康センターの設立者ならびにチーフディレクターであるSandra Bond Chapman博士とDee Wyly特別栄誉教授曰く

「全体的な血流量は20代から減少し始め、10年ごとに1–2パーセントずつ失われていく。血流量と神経の健全性は関連しているため、脳血流量が8パーセント近く上昇していたら、数十年分の脳の健康を取り戻せたと言えるだろう。」

とのことです。

また有酸素運動を行った群では、計60分のセッション(最大心拍数を50–75%に維持した状態でルームランナーによる歩行運動かエアロバイクによるサイクル運動のいずれかを50分、ウォーミングアップとクーリングダウンを各5分)を週に3回行いました。

この群では、記憶機能の根底をなし、とりわけ加齢と認知症の影響を受けやすい部位である両側海馬における脳血流量が上昇し、主に記憶力のパフォーマンスが改善しました。しかし全体的な血流量における有意な上昇はみられませんでした。

有酸素運動と脳トレ、両方必要

この研究は長期にわたって認知症発症リスクを軽減するかどうかを調査したものではなく、有酸素運動と脳トレそれぞれが血流量や認知機能に与える影響を調査したものです。

脳トレで改善された実行機能ですが、目標を定め、その目標の為に自己管理しタスクを遂行していく能力の事で、目標に対して臨機応変に対応し実行することとも言い換えられます。

記憶力も実行機能も、日常生活を円滑に送ったり、仕事でパフォーマンスを発揮するには必須の認知機能といえるでしょう。

有酸素運動と脳トレ、両方意識して行うべきですね。

出典:https://www.sciencedaily.com/releases/2016/07/160718110942.htm