有酸素運動としてのスイミング〜身体と脳への好影響

nounow編集部

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出典元:pixabay.com

有酸素運動のひとつとして取り上げられることの多いスイミング。本日の記事ではウォーキングやジョギングとはひと味違ったスイミングの特徴を紹介したいと思います。

以前のnounow記事「有酸素運動が海馬を大きくする!?」でもご紹介したとおり、認知機能の維持強化と有酸素運動の関連性を示したエビデンスが日本を含む世界各国の研究機関から発表されており、その効果は期待できるものがあります。

2012年にフランスはポワティエ大学の研究グループから発表されたスイミングと高齢者の認知機能に関する研究結果と、日本の文部科学省が発行している学校体育実技指導資料から、スイミングが身体機能と認知機能へ与える影響を紹介致します。

身体機能の強化

水中では息が苦しくなります。これは水圧を受けるために肺が膨らまず呼吸がしにくい状態です。この状態での呼吸が肺の筋組織を肥大させ、加齢に伴う呼吸機能の低下を防ぐことができます。

温水プールの水温はおよそ28~30℃ですが、体温より低い水中で運動を繰り返すことで、体温調節機能が強化され、カゼを引きにくくなると言われています。

またスイミングは連続的な運動であるため、筋の収縮と弛緩が交互に連続で繰り返されます。筋は血液のポンプのような働きをするため静脈環流(静脈血が心臓に戻ること)が促進されることが知られていますが、特にスイミングは運動に参加する筋群が多く全身に及ぶため、全身の血液循環の促進が期待できます。

身体的な安全性

水の比重1.0に対して身体を構成する主な組織は、脂肪が0.94、筋が1.06、骨が2.01。この比重差から体脂肪が多いと水に浮きやすくなります。浮力の作用による荷重負荷が低減されるため、膝や腰に障害のある人や肥満者でも怪我の予防しながら運動に取り組め、かつ水の大きな抵抗により十分な運動量を確保できます。

また、水圧の作用によっても静脈還流(静脈血が心臓に戻ること)が促進するため心拍数が10%程度減少することが知られています。これは水中では心負担が軽減することを意味します。

またスイミングは例え最高スピードで泳いでも、最大筋力の1/3程度しか使いません。最大筋力を必要としないので、中強度や高強度の心拍数であっても筋・腱や関節・骨への負担が小さく、筋力に自信がない方でも安全に運動することができます。

さらに、スイミングはテニスやバドミントン等とちがって、左右両側の筋を交互にバランスよく使用するので、均整のとれた身体の発達が期待できます。様々なスポーツ傷害に関する報告書をみても、スイミングはサッカー・テニス・野球のような、特有のスポーツ傷害が最も少ないスポーツの一つと言われています。

認知機能の強化

認知機能とスイミングに関わる研究論文が、2012年にフランスはポワティエ大学の研究グループから発表されました。

この研究は、若者16人(18~30歳)、運動習慣のない高齢者16人(65~80歳)、定期的にスイミングをする高齢者16人(65~80歳)に対して、認知機能を測定するタスク10種目(情報処理速度に関するタスク2種目、遂行機能に関するタスク8種目)を課して、その関連性を調査したものです。

その結果として、若者は高齢者に比べて10種目全てで優位であること、定期的に水泳をする高齢者は運動習慣のない高齢者と比べて遂行機能に関するタスクの3種目で優位であること、またスイミングが遂行機能に関するタスクの5種目に良い影響を与えていそうだということを報告しています。

本研究論文では心肺機能の向上を目的とする負荷でなくてよい(すなわち高強度でなくてもよい)ことが報告されていますので、たまには中強度の水泳で身体も脳もさっぱりしてみてはいかがでしょうか。


学校体育実技指導資料 第4集 水泳指導の手引http://www.mext.go.jp/component/a_menu/sports/detail/__icsFiles/afieldfile/2014/06/10/1348570_1_1.pdf
Swimming as a Positive Moderator of Cognitive Aging: A Cross-Sectional Study with a Multitask Approach
https://www.hindawi.com/journals/jar/2012/273185/<>