週1回程度の孫の世話は頭脳の衰えを予防する

大塚真紀

孫のお世話(イメージ)
出典元:pixabay.com

週1回程度孫の世話をすることは、認知機能維持につながり、逆にあまり頻繁で孫疲れするとよくないとの研究結果を紹介します。子供家族とは適度な距離を保つことが良さそうです。

社会活動と認知機能の関係

家にこもっているよりは、社会活動に参加した方が認知機能の衰えを予防できることは今までもいくつかの研究で報告されています。社会活動に参加することによって認知症を予防できる理由は、他者と接して刺激を受けたり、会話を通して考える機会が増えるからだといわれています。

今までの社会活動と認知機能に関する研究は、ボランティア活動を行うこと、友人や家族に会いに行くこと、地域の活動に参加することなどを対象に行われていました。しかし、孫の世話に関する報告は今までありませんでした。孫の世話は、孫の面倒を見ながらさまざまなことを考えるので、認知機能に影響を与える可能性があります。また、孫の世話は多くの方が経験するので、もし認知症の予防効果があるのであれば身近ですし良い予防法の1つになります。

週1日程度の孫の世話は頭脳の衰えを予防する

オーストラリアの研究チームは50歳以上の女性を対象に認知機能を調べる試験を行い、孫の世話を1週間に1日している女性は認知機能の低下を予防できる可能性があることを2014年10月に「Menopose」誌に発表しました。

対象となった女性は186名で、年齢は57歳から68歳でした。研究開始時に、孫がいるか、孫のことを気にしているか、どれくらいの頻度で孫の世話をしているかなどについて質問をし、その後に記憶や作業スピードなど認知機能に関連する試験を行いました。

孫の世話の頻度に関しては、週に0日、1日、3日以上、5日以上という回答結果になりました。

認知機能試験と孫の世話の頻度との関連をみると、孫を週1回みているグループの認知機能試験の結果がもっとも良かったことが明らかになりました。一方で、週に5日以上見ているグループでは認知機能試験の結果がもっとも悪いことがわかりました。

この結果から週に1日程度の孫の世話が、認知機能低下を予防する可能性が示唆されました。

今回の研究は、初めて孫の世話が認知機能に与える影響を検証したので貴重な報告といえますが、あくまで認知機能試験の評価のみなので認知症やアルツハイマー病の発症予防になるかどうかを今後検証する必要があります。今後、孫の世話が認知機能に長期的にどのような影響を与えるか検討する研究が行われることが期待されます。また今回の対象は女性のみだったので、孫の世話が男性の認知機能へも良い効果が見られるかどうか検討するべきと考えられます。

孫疲れにご注意を

今回の研究の結果からも明らかになったように、孫の世話を週に5日以上すると逆に認知機能の低下につながる可能性があります。日本でも出産後も働く女性が増えているため、娘や息子の両親が孫の世話をみることも増えています。晩婚化によって、親の年齢も上昇しているのでまだ小さい孫の世話をするのは大変に感じる方も多いと考えられます。また、認可保育所に入れてもらえないなど、保育所の不足も祖父母が孫の世話をみなければいけない原因の1つといわれています。

自分はもう働いていないのだし、娘や息子のために力になりたいと頑張りすぎてしまうことも多く、孫が帰ったらへとへとになっていた、孫の世話を頑張りすぎて膝や腰の痛みやめまいなどの病気を発症したという話は現代では珍しくないようです。

孫疲れが認知機能を低下させる原因としては、持続的にストレスがかかることなどが考えられます。孫も自分の娘や息子も大切にしたいという気持ちは素晴らしいことですが、疲れたり無理をしたりするのは認知機能だけでなく体の不調も招くので元も子もありません。決して無理をせず、孫の世話は週に1回程度で十分と伝える方がよいかもしれません。孫の世話以外の日は、地域の活動や友達との食事、趣味など自分の好きなことをした方が認知症の予防になる可能性があります。

(参考論文・参考資料)
Menopause. 2014 Oct;21(10):1069-74.

Role of grandparenting in postmenopausal women’s cognitive health: results from the Women’s Healthy Aging Project.

Burn KF, Henderson VW, Ames D, Dennerstein L, Szoeke C.