東京五輪にむけて始めるならこれ!外国語学習は初心者ほど認知力向上に効果あり!

工樂真澄

外国語を学ぶ(イメージ)
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今年はオリンピック・イヤー。リオ五輪が終われば、いよいよ4年後には東京オリンピックです。ボランティアとして外国のお客様を迎えるべく、語学学習を始める方も多いのではないでしょうか。2016年にイギリス、エジンバラ大学のバック博士らが明らかにしたところによれば、外国語学習は、たとえ短期間であっても、広い年齢層で認知機能を向上する効果があるそうです。

外国語を学習すると注意力が増す

実験では18歳から78歳までの幅広い年齢層の参加者33人に、「スコットランド高地のゲール語」の1週間の集中コースに参加してもらいました。この言語はいわゆるケルト語ですが、英語とは全く異なる単語や語順、つづりや文法を持つそうで、英語圏の人にとっても難しい言語のようです。33人の中にはゲール語が全く初めてという人もいれば、すでに中級レベルの人もいました。

比較対照のグループは2つあり、外国語コースの代わりに芸術やドキュメンタリー映画についての集中コースを受けるグループと、何のコースにも参加しないグループです。

集中コース受講前と、コース期間終了後にそれぞれのグループにテストを受けてもらい、認知機能にどれだけの変化があったかを調べました。

今回の研究で着目したのは認知機能の中でも「注意力」です。注意力の測定にはイギリスで作られた「The Test of Everyday Attention (日常注意力テスト)」から、「聴覚によるエレベーター課題」が使われました。皆さんも職場やマンションのエレベーターなどで、昇っているときと降りているときでは、音が変わることをご存じでしょう。このテストはエレベーターが上下する機械音を注意深く聞き取って、何階に止まったかを答えるというものです。

実験の結果、外国語の集中コースを受けたグループは、どの年齢層でも注意力が向上していることがわかりました。全くコースをとらなかったグループの人たちには変化がありませんでしたが、語学以外のコースに参加したグループはいくらか注意力が増していました。

行動は「注意力」に制御されている

認知機能の重要な位置を占めているのが「注意」です。私たちは目に入るものや、聞いたものすべてに気を配ったり、記憶したりできるわけではありません。日常のどの瞬間にも、膨大な情報の中から自分に必要なものだけを選び出して、その情報をもとに行動しています。そのために重要なのが「注意」です。注意はいくつかに分けることができ、物事に集中するための「集中的注意」、注意を持続する「持続的注意」、必要な情報を選び出す「選択的注意」などがあります。

今回の研究から、短期間の外国語学習によって「注意力」が向上することがわかりました。またどの年齢層でも向上したことから、言語習得は年をとってからも認知機能改善に効果があることが示されました。さらに9カ月後に追跡調査を行ったところ、集中コース修了後も自分で継続的に語学学習をしている人は、注意力がさらに向上していることがわかりました。

外国語学習は新たな世界への「脳」のチャレンジ

大人になってから外国語を習得するのは、かなりの努力と訓練が必要です。しかし「がんばろう」と思う気持ちこそが、老化しかかった「脳」に刺激を与えるのです。

今回の研究結果によると、もともと外国語の知識のある人よりも、全くの初心者が語学学習を始めたほうが、注意力向上につながりやすいようです。認知機能の向上に最も効果があるのは、「脳が経験したことのない未知なることへの挑戦」です。新しい外国語習得は、まさにぴったりの課題ではないでしょうか。

学生時代にどうも英語が苦手だったという方も、東京五輪に向けて英語のみならず、フランス語、中国語など広い視野で語学習得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。外国語を学ぶことは、その国の人や文化を知ることにもつながります。きっと新しい世界が開けることでしょう。

Novelty, Challenge, and Practice: The Impact of Intensive Language Learning on Attentional Functions.
Bak TH et al. PLoS One. 2016 Apr 27;11(4):e0153485.