生きがいがないと認知症になりやすい

大塚真紀

あなたの生きがいは?(イメージ)
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日々の生活の中で「生きがい」を感じていますか?「生きがいがない」という感情を抱くだけでも認知症の発症リスクが高くなるということがわかりました。

「生きがいがない」とは

「生きがいがない」状態とは、仕事をしていてもやりがいがない、今生きている意味を見いだせない、何も楽しいことがない、将来にも期待できない、などという感情を抱くことです。精神疾患では、うつ病の初期症状として出ることがあります。

現代は仕事や人間関係、家庭でもストレスが多く、常に時間に追われている方も多いため、うつ状態に陥る方は少なくないといわれています。つまり、うつ状態になり「生きがいがない」という負の感情を抱く可能性が高いということです。

今までの研究で、「生きがいがない」と感じている方はうつ病の発症率や自殺率が高いことはすでにわかっていました。また、うつ病は認知症の発症リスクになることはわかっていましたが、「生きがいがない」という負の感情だけで認知症の発症に影響があるかどうかは明らかになっていませんでした。

「生きがいがない」と感じることは認知症発症のリスクになる

スウェーデンの研究チームは人を対象に約20年間にわたり臨床研究を行い、50代に生きがいがないと感じている人は認知症やアルツハイマー病の発症リスクが上がることを2015年10月に「PLoS ONE」誌に発表しました。

1449人が研究に参加し、研究開始時の参加者の平均年齢は50.4歳、約20年後の調査時には平均71.3歳でした。

参加者には、「自分が望んでいる目標を達成することが不可能だと感じる」「将来に希望をもてないだけでなく、良くなることも期待できない」という2つの質問を行い、そう思う時には0、全く思わない時には4とし、5段階で回答してもらうようにしました。生きがいがないと考えるほど、点数が低くなります。

約20年間にわたり経過を追ったところ、61名が認知症、82名が軽度の認知機能障害を発症しました。

生きがいがないと研究開始時に答えた人の方が、生きがいがあると答えた人に比べて約20年後のアルツハイマー病、またその他の認知症の発症リスクが高いことがわかりました。

今回の研究で、生きがいがないと感じている方は将来、アルツハイマー病を含めた認知症を発症しやすいことが明らかになりました。
今回の研究で興味深い点は、研究開始時の生きがいがないという感情は認知症の発症に影響を与えるものの、研究終了時の生きがいがないという感情は影響を与えないということです。

生きがいがないという感情をもつことが、どのように認知症の発症に関与するかを明らかにする研究が行われることが期待されます。

生きがいを感じる方法とは

「生きがい」を感じていないと認知症の発症リスクが上昇することがわかりました。では、どうすれば生きがいを感じることができるのでしょうか。

何を「生きがい」と感じるかは人によって違うため、一概にこうすれば必ず解決できるという方法がありません。

しかし、生きがいを感じるように日々の生活を見直す方法はあります。まずは、十分な休養をとることです。人間は体が疲れていると良い考えも浮かばなくなります。すでに研究で報告されているように、睡眠不足はうつ病や認知症を引き起こすことがわかっています。睡眠不足だと感じる場合には、まずゆっくり寝るようにします。

そして、自分にとって何が大切か、何が楽しいかを考えます。子育てや仕事、家事、介護などに毎日追われていると自分の趣味や生きがいについて考える時間がないかもしれません。しかし、ふと立ち止まって自分が生きがいを感じられることがあるかどうか確認してみるとよいです。現在は、インターネットなどの普及により、多くの選択肢から生きがいを見つけることも可能です。状況が許すのであれば、ペットを飼うのも1つの方法です。

上記の方法を試してみて、自分にとっての生きがいを見つけることができた方は今回の研究結果によると将来、認知症の発症リスクが低くなるかもしれません。

<参考論文・参考資料>
PLoS One. 2015 Oct 13;10(10):e0140261.
Feelings of Hopelessness in Midlife and Cognitive Health in Later Life: A Prospective Population-Based Cohort Study.
Håkansson K, Soininen H, Winblad B, Kivipelto M.
(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26460971)