手をつないで歩く夫婦は脳卒中になっても回復が良い!?

佐藤洋平

手をつなぐカップルは脳卒中から回復しやすい(イメージ)
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社会的交流には脳卒中後の神経保護を促す効果があるといわれます。社会的交流にも色々ありますが、どのような交流がより効果があるのでしょうか?マウスを使った興味深い研究を紹介します。

好影響を及ぼす社会的交流は?

ある著明な古代ギリシアの哲学者はヒトは社会的動物だと言ったそうですが、21世紀の現在ではたしかに社会的な交流が生身のヒトの体に薬物と同程度の影響をおよぼすことが様々な研究から報告されています。

とはいえ社会的な交流にもいろいろとあります。「がんばれよ」という励ましの声を聞くのも社会的交流でしょうし、ネット回線を通した動画での交信も社会的交流でしょう。

あるいは無言でギュッと抱きしめられるのも社会的交流だと思うのですが、果たして本当に効果がある社会的交流はどのようなものなのでしょうか。

身体的接触のある社会的交流が重要

今回取り上げる論文は、社会的交流が脳卒中の回復に及ぼす効果についてマウスを使用して調べたものです。

実験ではマウスを人工的に脳梗塞を発症させ、脳卒中前後の社会的交流がどのように回復に影響するかについて調べています。

結果を述べると脳卒中前に身体的接触がある環境でつがいで飼育したマウスが病後の回復もよく、孤独な環境で飼育したマウスは回復に劣りました。

またつがいで育ててはいるのだけれども、透明なパーテーションで区切って身体的な接触を妨げられたマウスは上記2つの間位の結果になることが示されています。

これらの結果から
①脳卒中前に社会的交流が多いと脳卒中後の改善もよい
②社会的交流の中でも身体的接触がより重要である
ということが述べられています。

ふと,年をとっても手を繋いで歩くような夫婦は、もし脳卒中になっても回復も良いのかなと思いました。

【論文要旨】
社会的な交流は脳卒中後の神経保護を促す効果があることが報告されている。社会的に居宅することで豊富な社会的刺激や感覚的刺激がもたらされるが、これらの刺激が脳卒中の帰結にどのような影響を及ぼすかについては明らかにされていない。

本研究では齧歯動物を対象に身体的な接触を含む社会的交流が局所的脳虚血に対してどのような神経保護作用をもたらすかについて調査を行った。また虚血処理を行う24時間前から処理後72時間において深部体温と歩行能力の測定を行った。

結果、つがいで飼育したマウスは一匹で飼育したマウスと比べ虚血巣の体積減少と歩行能力の有意な改善が見られた。しかしながらつがいで飼育していながらパーテーションで区切って身体的接触を阻害されたマウスは一匹で飼育したマウスと同程度の虚血巣体積となった。

さらにつがいで育てられながら身体的接触を妨げられていたマウスは虚血処理後72時間後の歩行能力の改善も十分なものではなかった。深部体温は飼育条件によって優位な差は認められなかった。

これらのことから社会的交流の中でも身体接触が脳卒中の帰結に大きな影響をおよぼすことが示唆された。

https://www.researchgate.net/…/links/0912f50b1693ba7d2f0000…
Exp Neurol. 2009 Dec;220(2):276-82. doi: 10.1016/j.expneurol.2009.08.022. Epub 2009 Sep 3.
Social contact influences histological and behavioral outcomes following cerebral ischemia.
Karelina K1, Norman GJ, Zhang N, DeVries AC.
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出典:脳科学リハビリテーション