孤独感が強いとアルツハイマー病の発症リスクが上がる?

佐藤洋平

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出典元:pixabay.com

何度か取り上げてきた孤独とアルツハイマー病との関係。孤独感が強いことは、主な原因ではないものの認知症発症リスク増加に関連するという論文をご紹介します。

寂しさがアルツハイマー病に与える影響

ヒトは社会的な動物と言われています。

それゆえ社会で不適合を起こすと心身ともに様々な変調が現れてきますが、これは果たしてアルツハイマー病の可能性をどれだけ押し上げるのでしょうか。

今回取り上げる論文は孤独感とアルツハイマー病発症の関係について探ったものです。

研究ではイリノイ州シカゴの高齢者施設に住む老人(平均80.7歳)857名を4年間追跡して孤独感とアルツハイマー病発症の関係について時間を追って調べています。

結果は孤独感が強い高齢者はそうでない高齢者と較べて2倍近くアルツハイマー病発症のリスクが高まることが示されています。

このような現象が起こる背景として、齧歯類を使った研究では孤独な環境に置くことで脳由来神経栄養因子(BDNF)が低下し,海馬の神経細胞の可塑性も低下し、様々な認知機能が低下することから、孤独によって記憶関連領域が脆弱になり、それゆえアルツハイマー病の素因に対しても脆弱になるのではないかということが述べられています。

高齢者の孤独を包摂できるようなシステムが大事になってくるだろうなと思いました。

論文要旨

コンテキスト:
老年期の社会的孤立は認知症発症リスクと関連しているが、孤立感や孤独感に関連するリスクは十分に理解されていない。

目的:
孤独がアルツハイマー病(AD)のリスク上昇と関連しているという仮説を検証する。

設計:
年間4年間のフォローアップを伴う縦断的臨床病理学的コホート研究。

参加者:
登録時に認知症でない823名の高齢者を、シカゴ(イリノイ州シカゴ)周辺の高齢者施設から募集した。孤独感はベースライン時(平均+/- SD、2.3±0.6)および毎年5項目の尺度で評価した。死亡時には、複数の脳領域におけるAD病理および脳梗塞の存在を定量化するために、脳の均一な死後検査を行った。

主要な結果の措置:
ADの臨床診断、および以前に確立された世界的認知および特定の認知機能の総合的測定における変化。

結果:
経過観察中、76名の被験体が臨床的ADを発症した。孤独ではない人(スコア1.4、10パーセンタイル)と比較して、孤独な人ではADのリスクが倍増し(スコア3.2,90パーセンタイル)、社会的隔離の指標を管理しても所見に影響はなかった。孤独感は、ベースライン時の認知度の低下と、フォローアップ中のより迅速な認知低下と関連していた。孤独感に大きな変化はなく、研究中の平均孤独度は認知低下とADの発達と強く関連していた。死亡し、脳の剖検を行った90人の参加者において、孤独は、AD病理の概要測定または脳梗塞とは無関係であった。

結論:
孤独は、認知症のリスク増加に関連するが、主な原因によるものではない。

http://sahswww.med.osaka-u.ac.jp/…/epi/shodoku/13th.7.17.pdf
Arch Gen Psychiatry. 2007 Feb;64(2):234-40.
Loneliness and risk of Alzheimer disease.
Wilson RS1, Krueger KR, Arnold SE, Schneider JA, Kelly JF, Barnes LL, Tang Y, Bennett DA.

コンテンツ提供:脳科学リハビリテーション